2026年9月16日水曜日

相続登記② 相続登記に必要な戸籍はどこまで集める?出生から死亡まで必要?

 

相続登記に必要な戸籍はどこまで集める?出生から死亡まで必要?

 相続登記の準備を始めると、

「亡くなった人の戸籍は、死亡したときのものだけではダメなの?」

「出生から死亡まで全部必要と言われたけれど、どういう意味?」

と疑問に思われる方も多いと思います。

相続登記では、単に亡くなったことを確認するだけではなく、誰が法律上の相続人なのか、ほかに相続人がいないかを確認する必要があります。

そのため、遺産分割や法定相続による一般的な相続登記では、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をさかのぼって確認することになります。

今回は、相続登記で必要になる戸籍について、できるだけ分かりやすく説明します。



なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要なの?

一番大きな理由は、

相続人が誰なのか、ほかに相続人がいないかを確認するため

です。

例えば、亡くなった方に配偶者と子どもが2人いる場合、一見すると相続人はその3人だと思われます。

しかし、現在の戸籍だけでは、以前の婚姻で子どもがいないか、認知した子どもがいないか、養子縁組をしていないかなど、すべてを確認できるとは限りません。

そこで、現在の戸籍から古い戸籍へ順番にさかのぼり、出生から死亡までの身分関係を確認していきます。

「出生から死亡までの戸籍」は1通ではありません

ここは、初めて相続手続きをされる方が戸惑いやすいところです。

「出生から死亡までの戸籍」といっても、通常は1通の戸籍にすべて記載されているわけではありません。

人は一生の間に、婚姻、離婚、転籍、戸籍制度の変更による改製などによって、戸籍が変わることがあります。

そのため、

現在戸籍 → 除籍 → 改製原戸籍 → さらに前の戸籍

というように、古い戸籍へさかのぼって確認することがあります。

結果として、1人の被相続人について何通もの戸籍が必要になることも珍しくありません。

例えば「配偶者と子2人」が相続人の場合

比較的分かりやすい例です。

父が亡くなり、相続人が妻・長男・長女の3人だったとします。

この場合、一般的にはまず、亡くなった父について出生から死亡までの戸籍を確認します。

そして、妻・長男・長女についても、相続人であることが分かる現在の戸籍を確認します。

相続人の戸籍については、被相続人の死亡後に発行されたものを使用するのが基本です。

ただし、同じ戸籍の中に必要な事項がすべて記載されている場合には、同じ戸籍を重ねて取得する必要はありません。


子どもが先に亡くなっている場合は?

少し複雑になります。

例えば、父が亡くなった時点で長男がすでに亡くなっており、その長男に子どもがいるケースです。

この場合には、長男の子どもが代襲相続人となることがあります。

そのため、亡くなった父の戸籍だけではなく、先に亡くなった長男についても出生から死亡までの戸籍などを確認し、長男の子どもが誰なのかを確認する必要が生じることがあります。

つまり、相続人となるはずだった子が先に亡くなっている場合には、必要になる戸籍の範囲が広がります。


子どもがいない場合は戸籍が増えることもあります

亡くなった方に子どもがいない場合は、相続人の範囲が変わります。

子どもがいなければ、状況によっては父母などの直系尊属が相続人になります。

さらに父母などもすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人になることがあります。

兄弟姉妹が相続人になるケースでは、亡くなった方に子どもがいないこと、父母などの直系尊属がすでに亡くなっていること、兄弟姉妹が誰なのか、といったところまで戸籍で確認する必要があります。

さらに、兄弟姉妹を確定するため、亡くなった方の父母について出生から死亡までの戸籍などが必要になる場合もあります。

そのため、配偶者と子どもだけが相続人になるケースと比べると、必要な戸籍がかなり多くなることがあります。


兄弟姉妹も亡くなっている場合

さらに、相続人となる兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合、その兄弟姉妹の子どもである甥・姪が相続人になることがあります。

この場合も、先に亡くなった兄弟姉妹と、その子どもとの関係を戸籍で確認します。

「相続人は兄弟だけだから簡単だろう」

と思っていたところ、実際に戸籍を集め始めるとかなりの通数になることもあります。


遺言書がある場合は必要な戸籍が変わることがあります

ここは重要です。

相続登記では、必ずすべてのケースで同じ戸籍を集めるわけではありません。

例えば、有効な遺言書に基づいて特定の相続人が不動産を相続する場合には、通常の遺産分割や法定相続による相続登記とは、必要になる戸籍の範囲が異なることがあります。

そのため、

「相続登記だから、とにかく出生から死亡まで全部取ればいい」

と最初から決めつける必要はありません。

遺言書がある場合には、先に遺言書の内容を確認してから必要書類を判断した方が、余分な戸籍を取得せずに済むことがあります。


戸籍はどこで取得する?

戸籍は、基本的には市区町村で取得します。

以前は、本籍地が変わっている場合には、それぞれの市区町村へ請求する必要がありました。

現在は戸籍の広域交付制度があり、ご本人や配偶者、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属であれば、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本や除籍謄本などを取得できる場合があります。

例えば、芦屋市にお住まいの方でも、条件を満たせば、東京や大阪などに本籍がある戸籍を芦屋市の窓口で請求できる場合があります。

ただし、広域交付には制限があります。

代理人による請求や郵送による広域交付はできず、コンピュータ化されていない一部の戸籍は対象外です。

また、兄弟姉妹の戸籍は広域交付では請求できません。

そのため、特に兄弟姉妹や甥・姪が相続人になるケースでは、広域交付だけですべての戸籍がそろうとは限りません。


司法書士に戸籍収集を依頼することもできます

「昔の本籍地が分からない」

「戸籍を見ても次にどこへ請求すればいいのか分からない」

「平日に何度も役所へ行く時間がない」

という場合には、相続登記とあわせて戸籍収集を司法書士に依頼することもできます。

司法書士が相続手続きのために戸籍を収集する場合には、現在ある戸籍を確認しながら、必要な戸籍を順番に取得していきます。

なお、司法書士による職務上請求は広域交付制度の対象ではないため、必要に応じて各本籍地の市区町村へ請求して収集します。


戸籍がたくさんある場合は「法定相続情報一覧図」も便利です

相続では、戸籍を使用するのは不動産の相続登記だけとは限りません。

預貯金の相続手続き、証券会社の手続き、保険関係の手続きなどでも、相続関係を確認する書類が必要になることがあります。

そのような場合には、法務局の法定相続情報証明制度を利用する方法があります。

一度必要な戸籍を集めて法定相続情報一覧図を作成し、法務局からその写しの交付を受けておけば、その後の相続手続きで戸籍一式の代わりとして利用できる場合があります。

複数の金融機関などで相続手続きをする場合には便利な制度です。


自分で戸籍を集めることもできます

もちろん、戸籍はご自身で集めることもできます。

例えば、亡くなった方の本籍地がほとんど変わっていない、相続人が配偶者と子どもだけ、代襲相続などがない、といったケースであれば、比較的分かりやすいこともあります。

一方で、転籍が何度もある、婚姻歴が複数ある、相続人の中に亡くなっている方がいる、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる、何代も相続登記がされていない、といった場合には、戸籍収集だけでもかなり複雑になることがあります。


相続登記や戸籍収集について詳しくは、松岡司法書士事務所の「相続手続き」ページもご覧ください。


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