外国籍の方が日本に不動産を持っていた場合の相続登記
「外国籍の父が亡くなったけれど、日本にある自宅の名義変更はどうすればいいの?」
「外国に住んでいる相続人でも、日本の不動産を相続できるの?」
「外国籍の人の相続登記には、日本人と違う書類が必要なの?」
外国籍の方が日本国内に土地や建物を所有していることは、珍しくありません。
日本で生まれ育った外国籍の方が自宅を所有している場合もあれば、外国に住んでいる方が日本国内にマンションなどを所有している場合もあります。
このような方が亡くなった場合、日本国内の不動産については、相続登記の手続きを行う必要があります。
ただし、外国籍の方の相続では、相続人の範囲や相続分を確認するために外国の法律を調べたり、日本の戸籍に代わる証明書を準備したりすることがあります。
今回は、外国籍の方が日本国内に不動産を所有していた場合の相続登記について、必要書類、登記名義人の確認、海外在住の相続人への対応、登記申請の流れまで説明します。
① 外国籍の方が所有していた不動産も相続登記が必要?
例えば、次のような場合を考えてみましょう。
父:外国籍
母:日本国籍
長男:日本国籍
長女:日本国籍
父は日本で長年生活し、兵庫県芦屋市内に土地と建物を所有していました。
その父が亡くなった場合、日本国内の不動産について相続登記が必要になります。
ここで重要なのは、亡くなった方が外国籍であっても、日本国内の不動産については日本の不動産登記制度に従って手続きを行うということです。
不動産の所在地が芦屋市であれば、その所在地を管轄する日本の法務局に登記を申請します。
亡くなった方が韓国籍、中国籍、米国籍など、どこの国籍であっても、日本国内の不動産について登記を行うという基本的な仕組みは変わりません。
また、相続する方が外国籍であっても、日本国内の不動産の所有者になることは可能です。
ただし、登記手続きの前提として、誰が相続人になるのか、誰が不動産を取得するのかを確認する必要があります。
② まず、不動産の登記簿を確認する
外国籍の方の相続登記では、最初に不動産の登記事項証明書を確認することが重要です。
例えば、亡くなった父が自宅として使用していた土地と建物について、次のような事項を確認します。
不動産の所在地
土地の地番
建物の家屋番号
登記されている所有者の氏名
登記されている所有者の住所
共有名義になっていないか
抵当権などの登記が残っていないか
特に注意したいのが、登記簿に記載されている氏名や住所が、亡くなった方の現在の記録と一致しているかという点です。
外国籍の方の場合、登記簿には漢字の氏名が記載されていても、住民票や外国の身分関係証明書には異なる表記が使用されていることがあります。
また、長年にわたって住所変更が行われていたにもかかわらず、登記簿には古い住所が残っていることもあります。
そのため、まず登記簿を取得して、誰の名義になっているのかを確認することが必要です。
③ 相続人は日本の法律で決めるの?
日本国内の不動産を相続する場合でも、相続人を決める法律が必ず日本法になるわけではありません。
日本の「法の適用に関する通則法」第36条では、相続は被相続人の本国法によると定められています。
例えば、亡くなった方が韓国籍だった場合には、原則として韓国の相続法を確認します。
一方、外国の法律の内容によっては、日本法が適用される場合もあります。
このような問題については、第2回「外国籍の方の相続では、どこの国の法律が適用される?」で説明しました。
ここで整理しておきたいのは、次の2つの違いです。
相続人や相続分を決める法律
原則として、亡くなった方の本国法を確認します。ただし、反致などによって日本法が適用される場合があります。
日本国内の不動産の登記手続き
日本の不動産登記法などに従って手続きを行います。
つまり、相続関係について外国法を確認する必要がある場合でも、日本国内の不動産の名義変更は日本の法務局で行うことになります。
④ 外国籍の方の相続登記に必要な書類は?
外国籍の方が所有していた不動産の相続登記では、一般的に次のような書類を確認します。
不動産の登記事項証明書
亡くなった方の死亡を証明する書類
亡くなった方の国籍を確認できる資料
相続人の範囲を証明する書類
相続人の住所を証明する書類
遺産分割協議書(協議を行った場合)
遺産分割協議に必要な印鑑証明書など
遺言書(遺言による場合)
固定資産評価額を確認できる資料
外国語で作成された証明書の日本語訳文
ただし、これらがすべての相続登記で必要になるわけではありません。
遺言書の有無、適用される相続法、相続人の国籍や居住地などによって必要書類は変わります。
例えば、外国籍の父が亡くなり、日本国籍の妻と子どもが相続人になる場合には、外国の身分関係証明書と日本の戸籍謄本を組み合わせて相続関係を確認することが考えられます。
一方、外国籍の相続人が全員海外に住んでいる場合には、外国の証明書を中心に準備することもあります。
日本人の相続登記であれば戸籍謄本によって相続関係を確認するのが一般的ですが、外国籍の方については、それと同じ方法が使えるとは限りません。
必要なのは、日本の戸籍謄本と同じ名称の書類ではなく、法律上の相続関係を証明できる資料をそろえることです。
⑤ 登記簿上の氏名と外国の証明書の氏名が違う場合は?
外国籍の方の相続登記で注意したいのが、氏名の表記の違いです。
例えば、亡くなった方について、次のような状態になっていることがあります。
登記簿:漢字の氏名
住民票:アルファベットの氏名
外国の証明書:本国の文字による氏名
日常生活:日本で使用していた通称名
このような場合、登記簿上の所有者と、死亡した方が同一人であることを確認しなければなりません。
例えば、古い登記簿には「金」という漢字を使用した氏名が記載されていて、現在の住民票には別の表記が使用されているようなケースです。
単に氏名の読み方が似ているというだけでは、同一人であることの証明として十分とは限りません。
そこで、次のような資料を確認することがあります。
住民票の除票
過去の住民票関係の記録
登記済証や登記識別情報通知
外国の身分関係証明書
氏名や住所の変更経過を確認できる資料
また、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なっている場合にも、住所のつながりを確認する資料が必要になることがあります。
ただし、亡くなった所有者の住所が変更されていたからといって、相続登記の前に必ず住所変更登記を行わなければならないわけではありません。
相続登記において、登記名義人と被相続人の同一性を証明する方法を検討することになります。
古い記録が保存されていない場合には、残された資料を整理したうえで対応方法を検討する必要があります。
⑥ 外国籍の方が残した遺言書がある場合は?
外国籍の方が日本国内に不動産を所有していた場合、遺言書を残していることもあります。
例えば、外国籍の父が日本で公正証書遺言を作成し、自宅の土地建物を妻に相続させる内容を定めていた場合です。
このような場合には、まず遺言の成立や効力、遺言書の内容などを確認します。
外国籍の方が作成した遺言書については、どの国の法律が適用されるかという問題があります。
また、日本国内で作成された遺言書であっても、亡くなった方が外国籍であることを踏まえて、その効力などを確認する必要があります。
さらに、遺言書があれば必ず遺産分割協議が不要になるとは限らず、遺言の内容や適用法によって検討が必要になります。
例えば、外国で作成された遺言書によって日本国内の不動産を取得する場合には、日本の登記手続きで必要となる事項が確認できるかも問題になります。
外国籍の方が残した遺言書については、遺言書の方式や効力と、日本の不動産登記に使用できるかを分けて確認することが重要です。
⑦ 遺産分割協議で不動産の取得者を決める場合は?
遺言書がない場合などには、相続人全員で遺産分割協議を行うことがあります。
例えば、外国籍の父が亡くなり、妻と長男、長女が相続人となる場合です。
父は芦屋市内に自宅を所有していました。
相続人全員で協議した結果、妻が自宅の土地建物を取得することになったとします。
この場合、適用される相続法のもとで有効な遺産分割協議が成立していれば、その内容に基づく相続登記が考えられます。
ただし、協議を行う前提として、相続人の範囲を正しく確認しなければなりません。
外国法が適用される場合、日本の民法で相続人になる方と、外国の法律で相続人になる方が異なる可能性があります。
相続人に該当しない方が協議に参加していたり、本来参加すべき相続人が協議から漏れていたりすると、問題が生じることがあります。
そのため、外国籍の方の遺産分割協議では、協議書を作る前に、適用される法律と相続人の範囲を確定させることが重要です。
⑧ 相続人が日本国籍の場合はどうなる?
亡くなった方が外国籍でも、相続人が日本国籍というケースがあります。
例えば、韓国籍の父が日本国籍の母と婚姻し、日本国籍の子どもが生まれた場合です。
父が亡くなり、母と子どもが相続人になったとします。
この場合、相続人が日本国籍であることだけを理由として、日本の民法に基づく相続分を適用するわけではありません。
相続人の範囲や相続分については、被相続人に適用される相続法を確認する必要があります。
一方、不動産を取得する相続人が日本国内に住所を有していれば、その方の住所については住民票などによって証明することができます。
また、日本国籍の相続人については、日本の戸籍謄本によって婚姻や親子関係を確認できる場合があります。
つまり、亡くなった方が外国籍であっても、相続人が日本国籍の場合には、日本の証明書を利用できる部分があるということです。
ただし、日本の戸籍だけですべての相続人を確認できるとは限りません。
外国籍の被相続人については、本国の身分関係資料なども含めて確認する必要があります。
⑨ 相続人が外国籍で、日本に住んでいる場合は?
外国籍の相続人が日本国内に住んでいる場合もあります。
例えば、外国籍の父が亡くなり、同じく外国籍の長男が日本国内の自宅を取得することになった場合です。
長男が日本国内に住所を有し、住民票に記録されている場合には、住民票を住所証明情報として利用することが考えられます。
また、日本で印鑑登録をしている場合には、遺産分割協議に必要な印鑑証明書を取得できることがあります。
ただし、外国籍の方であれば誰でも日本の住民票や印鑑証明書を取得できるわけではありません。
その方の在留状況や住民登録の有無などによって異なります。
重要なのは、国籍が外国であることと、日本国内に住所があることは別の問題だということです。
外国籍の相続人であっても、日本国内で住民登録や印鑑登録をしている場合には、日本の証明書を利用できることがあります。
⑩ 相続人が外国に住んでいる場合は?
相続人が外国に住んでいても、日本国内の不動産を相続することは可能です。
例えば、亡くなった父が日本国内にマンションを所有しており、相続人である長男は日本、長女は外国に住んでいる場合です。
この場合、長女が外国に住んでいるという理由だけで、相続人から除外されるわけではありません。
また、相続人全員が日本に集まらなければ遺産分割協議を行えないというわけでもありません。
書類を郵送するなどして、必要な合意を行うことも考えられます。
ただし、海外在住の相続人については、次のような点に注意が必要です。
住所を証明する書類
日本国内の住民票を取得できない場合には、居住国の政府などが発行する住所証明書類や、公証人の作成する書面などを検討します。
遺産分割協議書への署名
日本の印鑑証明書を取得できない場合には、本人の署名を証明する書類などが必要になることがあります。
外国語の証明書
登記申請に使用する外国語の証明書については、日本語訳文が必要になります。
海外在住の相続人がいる場合には、必要書類の取得に時間がかかることもあります。
そのため、遺産分割協議の内容を決めるだけでなく、実際に登記申請に使用する書類を取得できるかについても、早めに確認することが重要です。
⑪ 外国籍の方が新しい所有者になる場合、氏名はどう登記する?
2024年4月1日から、外国人が新たに不動産の所有権の登記名義人となる場合には、原則としてローマ字氏名を申請情報として提供する取扱いが始まっています。
例えば、外国籍の長男が父の不動産を相続し、日本の法務局に相続登記を申請する場合です。
この場合、原則として、ローマ字氏名を証明する資料も準備する必要があります。
日本国内の住民票にローマ字氏名が記載されていれば、その住民票を利用できる場合があります。
また、日本国内に住民登録がない外国籍の方については、旅券などによってローマ字氏名を確認する方法があります。
ただし、通称名を氏名として登記申請する場合など、ローマ字氏名の提供について例外的な取扱いが認められる場合もあります。
さらに、2026年10月5日からは、所有権の移転登記などの申請に伴う検索用情報の申出に、国籍等の情報が追加されました。
新たに所有権の登記名義人となる個人については、氏名、住所、生年月日などの情報に加えて、国籍等の情報も申し出る必要があります。
外国籍の方については、国籍が記載された住民票、旅券、在留カード、特別永住者証明書などが国籍等を証明する資料となる場合があります。
なお、これらの検索用情報の申出と、登記簿上の所有者の氏名・住所の記録とは区別されます。
国籍等の情報は、将来その方に相続が発生した場合に、相続の準拠法を確認するための基礎資料にもなります。
⑫ 相続人が海外に住んでいる場合、国内連絡先の登記も必要?
2024年4月1日から、海外に住所を有する方が新たに不動産の所有権の登記名義人となる場合には、国内連絡先に関する情報を申請する制度が始まっています。
例えば、外国に住んでいる長男が、日本国内の土地建物を相続する場合です。
この場合には、日本国内の連絡先となる方について、氏名や住所などを登記申請の際に提供する必要があります。
国内連絡先となる方は、一定の要件を満たす個人や法人などです。
また、国内連絡先となる方がいる場合には、その方の承諾を証明する書類などが必要になります。
一方、日本国内に連絡先となる方がいない場合には、国内連絡先となる方がいない旨を申請することも認められています。
したがって、海外在住の相続人が必ず日本国内に知人や親族を用意しなければならないわけではありません。
この制度は、外国籍の方だけに適用されるものではありません。
日本国籍の方でも、海外に住所を有する場合には対象となります。
外国籍かどうかだけではなく、不動産を取得する方が日本国内に住所を有しているかどうかを確認する必要があります。
⑬ 外国籍の方の相続登記は、どのような順番で進める?
外国籍の方が日本国内に不動産を所有していた場合、次のような順番で進めることが考えられます。
1.不動産を確認する
登記事項証明書を取得し、土地や建物の所在地、所有者の氏名・住所などを確認します。
2.亡くなった方の国籍を確認する
死亡時の国籍を調べ、相続に適用される法律を検討します。
3.死亡を証明する書類を取得する
日本の死亡関係証明書や外国の証明書などから、必要な資料を確認します。
4.相続人を調査する
適用される相続法に基づいて相続人の範囲を確認し、必要な身分関係資料を収集します。
5.遺言書の有無を確認する
遺言書がある場合には、その効力や内容を確認し、登記手続きに使用できるかを検討します。
6.不動産の取得者を決める
必要に応じて相続人全員による遺産分割協議を行います。
7.登記名義人と被相続人の同一性を確認する
氏名や住所の表記が異なる場合には、同一人であることを証明する資料を整理します。
8.相続人の住所・氏名などを証明する資料を準備する
海外在住の相続人がいる場合には、住所証明書類や署名証明書なども確認します。
9.日本語訳文などを準備する
外国語で作成された書類について、登記申請に必要な日本語訳文などを整えます。
10.相続登記を申請する
不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
なお、国によって相続制度が異なるため、必ずしもすべてのケースでこの順番どおりに進められるとは限りません。
特に、外国の法律の内容や身分関係の証明方法に不明な点がある場合には、登記申請前に必要資料を確認しておくことが大切です。
⑭ 外国籍の方の相続登記には、どのような費用がかかる?
外国籍の方の相続登記でも、日本国内の不動産について登記申請を行う場合には、登録免許税が問題になります。
相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税は、原則として不動産の固定資産税評価額の0.4%です。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産について、相続による所有権移転登記を行う場合です。
単純に計算すると、登録免許税は4万円になります。
ただし、一定の土地の相続登記については、登録免許税の免税措置が適用される場合があります。
また、外国籍の方の相続登記では、日本人の相続登記と比較して、次のような費用が追加で発生することがあります。
外国の身分関係証明書の取得費用
外国からの書類の郵送費用
外国の公証人などによる証明費用
外国語の証明書の翻訳費用
外国法の調査に必要な費用
ただし、すべての案件でこれらの費用が必要になるわけではありません。
相続人が日本国内に住んでいるのか、外国に住んでいるのか、どのような身分関係証明書が取得できるのかによって異なります。
⑮ 外国籍の方の相続登記にも義務化は適用される?
2024年4月1日から、日本国内の不動産について相続登記が義務化されています。
この制度は、日本国籍の方だけを対象としているわけではありません。
外国籍の方が日本国内の不動産を相続した場合も、相続登記の申請義務の対象となります。
相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、遺産分割協議が成立した場合には、原則としてその成立日から3年以内に、遺産分割の結果を反映した登記を申請する義務もあります。
さらに、2024年4月1日より前に発生した相続についても、相続登記の義務化の対象になります。
以前から相続によって不動産を取得したことを知っていた場合には、原則として2027年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。
外国籍の方の相続では、外国の証明書を取得したり、外国法を調査したりするために時間がかかることがあります。
しかし、外国籍であることを理由として、当然に相続登記の義務が免除されるわけではありません。
正当な理由なく期限内に登記申請をしなかった場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
なお、相続人の調査などに時間がかかり、期限内に相続登記を申請することが難しい場合には、相続人申告登記という制度を検討できることがあります。
ただし、相続人申告登記は、遺産分割による登記の追加的な申請義務まで履行するものではありません。
また、相続人申告登記をしただけでは、不動産の所有権について相続登記が完了したことにはなりません。
外国籍の方の相続登記でも、期限を意識しながら、相続人の調査と必要書類の収集を進めることが重要です。
⑯ 外国籍の方の相続登記で特に注意したいこと
外国籍の方が日本国内の不動産を所有していた場合の相続登記では、次の3点が特に重要です。
1.相続に適用される法律と日本の登記手続きを区別する
日本国内の不動産だからといって、相続関係について必ず日本法が適用されるわけではありません。
亡くなった方の国籍などを確認し、相続に適用される法律を調べる必要があります。
2.登記名義人と亡くなった方が同一人であることを確認する
外国籍の方の場合、登記簿と外国の証明書で氏名の表記が異なったり、日本で通称名を使用していたりすることがあります。
そのため、氏名や住所の変更経過を確認できる資料を整理する必要があります。
3.不動産を取得する相続人の住所・氏名などを確認する
相続人が日本国内に住んでいる場合と、海外に住んでいる場合では、準備する書類が異なることがあります。
また、外国籍の方が新たな所有者になる場合には、ローマ字氏名などの取扱いにも注意が必要です。
これらの点を確認したうえで、相続登記の申請書と添付書類を準備することになります。
まとめ
外国籍の方が日本国内に土地や建物を所有していた場合には、日本の不動産登記制度に従って相続登記を行います。
ただし、相続人の範囲や相続分については、亡くなった方の本国法などを確認しなければならない場合があります。
今回のポイントを整理すると、
外国籍の方が所有していた日本国内の不動産も相続登記が必要になる
相続関係の準拠法と、日本の不動産登記制度は区別して考える
登記簿上の所有者の氏名・住所を最初に確認する
相続人の範囲を外国法に基づいて確認する必要がある場合がある
日本の戸籍だけで相続関係を証明できるとは限らない
外国の身分関係証明書や日本の戸籍などを組み合わせて確認する場合がある
登記簿と証明書で氏名が異なる場合には、同一人であることを証明する
海外に住んでいる相続人も日本国内の不動産を相続できる
海外在住の相続人には、住所証明書類や署名証明書などが必要になる場合がある
外国籍の方が新たな所有者になる場合には、ローマ字氏名の取扱いにも注意する
2026年10月5日からは、所有権登記申請時の検索用情報に国籍等の情報が追加されている
海外居住者が新しい所有者になる場合には、国内連絡先に関する登記制度も確認する
外国籍の方の相続登記にも、2024年4月からの相続登記義務化が適用される
ということになります。
外国籍の方の相続登記では、日本の不動産登記制度だけでなく、外国の相続法や身分関係を証明する制度も関係します。
しかし、外国籍だからといって、日本国内の不動産について必ず外国で登記手続きを行わなければならないわけではありません。
日本国内の不動産については、日本の法務局に相続登記を申請することになります。
そのためには、亡くなった方の国籍と相続関係を確認し、登記簿上の所有者との同一性を証明したうえで、不動産を取得する相続人に必要な資料を整えることが重要です。
また、相続登記が義務化されていることから、外国の証明書の取得などに時間がかかる場合には、早めに準備を進める必要があります。
外国籍の方の相続登記は、法律関係と必要書類を順番に整理することが、手続きを円滑に進めるための基本となります。
参考資料
法の適用に関する通則法(第36条・第41条など)|e-Gov法令検索
法務省|令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について
