2026年10月11日日曜日

見守り契約② 見守り契約で何をしてもらえる?できること・できないこと

 


見守り契約で何をしてもらえる?できること・できないこと

前回は、見守り契約とはどのようなものなのか、一人暮らしの高齢者が元気なうちから利用できる仕組みとしてご紹介しました。

では実際に、

「見守り契約を結ぶと、何をしてもらえるの?」

という点が気になるところだと思います。

見守り契約は、本人の生活状況や体調の変化を定期的に確認し、必要があれば次の支援につなげるための契約です。

一方で、見守り契約をしたからといって、受任者が本人の預金を自由に管理したり、本人に代わって契約をしたりできるわけではありません。

今回は、見守り契約でできること・できないことを整理します。


見守り契約でできること

見守り契約には法律で決められた全国一律の内容があるわけではありません。

そのため、実際に何を行うかは本人と受任者との契約で決めます。

代表的には、次のような内容が考えられます。

1.定期的な電話やメールによる安否確認

もっとも基本的なのが、定期的な連絡です。

例えば、

・月に1回電話する
・定期的にメールで連絡する
・一定期間連絡が取れなければ確認する

といった方法です。

単に「元気ですか」と聞くだけではなく、

体調に変化がないか
入院していないか
生活上の困りごとはないか

などを確認していきます。

本人が一人暮らしの場合には、定期的に連絡を取る相手が決まっているだけでも安心につながります。


2.定期的な面談

契約内容によっては、電話だけではなく、定期的に面談する方法もあります。

実際に会うことで、

「以前より歩くのが大変そう」

「役所から届いた書類がよく分からないと言っている」

「最近、同じ話を何度もするようになった」

など、電話だけでは分かりにくい変化に気付くこともあります。

もちろん、見守り契約だけで医学的な判断をするわけではありません。

しかし、生活上の変化に気付き、必要な支援を検討するきっかけにはなります。


3.困りごとの相談を受ける

見守り契約では、定期連絡の際に日常生活について相談を受けることもあります。

例えば、

「病院からこんな書類をもらったけれど、どうしたらいい?」

「施設への入所を考え始めた」

「最近、銀行へ行くのが大変になってきた」

といった相談です。

見守りの中でこうした変化を把握することで、必要に応じて、

財産管理等委任契約や任意後見契約など、次の支援を検討する

ことができます。


4.緊急時の連絡先を整理しておく

あらかじめ、

・親族
・ケアマネジャー
・高齢者施設
・医療機関
・その他の連絡先

などを確認しておくことも大切です。

例えば、本人と連絡が取れない場合に、

「まず誰へ連絡するのか」

を決めておけば、対応しやすくなります。

ただし、誰にどこまで連絡できるのかは、本人の同意や契約内容を確認しておく必要があります。


5.任意後見を開始する時期を考えるきっかけになる

任意後見契約を作っていても、契約しただけですぐに任意後見が始まるわけではありません。

本人の判断能力が低下してきた場合には、家庭裁判所への申立てなど、制度を開始するための手続きが必要になります。

見守り契約によって日頃から本人と連絡を取っていれば、

「そろそろ一人で財産管理をすることが難しくなってきたのではないか」

といった変化にも気付きやすくなります。

そのため、見守り契約は任意後見契約と組み合わせて利用されることがあります。


6.死後事務につなげる

死後事務委任契約を作っている場合にも、見守り契約は役立ちます。

死後事務を始めるためには、受任者が本人の死亡を知る必要があります。

定期的に連絡を取り、必要に応じて施設や関係者との連絡体制を整えておくことで、本人に何かあった場合に状況を把握しやすくなります。

その意味で、

見守り契約は、生前の支援と死亡後の死後事務をつなぐ役割

も持っています。

見守り契約ではできないこと

一方、見守り契約という名前だけで、何でもできるわけではありません。

ここは特に注意が必要です。

預金を自由に管理することはできません

見守り契約を結んだだけでは、受任者に本人の預金を管理する権限が当然に与えられるわけではありません。

例えば、

・ATMで本人のお金を引き出す
・銀行窓口で本人の代わりに手続きする
・本人のお金で支払いをする

といった財産管理が必要であれば、財産管理等委任契約など、別の契約や権限を検討する必要があります。

本人に代わって契約することも当然にはできません

例えば、

・施設への入所契約
・不動産に関する契約
・各種サービスの契約や解約

などについても、見守り契約だけで受任者に代理権が生じるわけではありません。

本人に代わって法律行為を行ってほしい場合には、そのための代理権を別途定める必要があります。

つまり、

見守ることと、本人に代わって法律行為をすることは別

ということです。

本人の財産を処分することはできません

見守り契約だけで、

「本人の自宅を売却する」

「本人の預金を移動する」

といった財産処分をすることもできません。

こうした行為には、本人自身の意思や、別途の代理権、場合によっては成年後見制度などを検討する必要があります。

医療について何でも決められるわけではありません

見守り契約の受任者だからといって、本人に代わって医療に関するあらゆる判断ができるわけでもありません。

見守り契約では、本人の体調変化を確認したり、必要に応じて医療機関や親族へ連絡したりすることは考えられます。

しかし、見守り契約そのものから当然に医療行為への同意権が生じるわけではありません。


24時間監視する契約ではありません

見守り契約は通常、「常に本人の状態を監視する」ものではありません。

例えば月1回の電話連絡を内容とする契約であれば、その間に体調が急変する可能性もあります。

そのため、「見守り契約を結べば、必ず孤独死を防げる」というものでもありません。

見守り契約の役割は、一定の頻度で本人の状況を確認し、変化があれば次の対応を考えられるようにすることです。

できること・できないことを契約書で明確にする

見守り契約では、「見守ります」というだけでは、実際に何をするのか分かりません。

例えば、

・連絡は月何回か
・電話か面談か
・連絡が取れない場合はどうするか
・緊急時は誰へ連絡するか
・面談を行うか
・相談を受ける範囲はどこまでか

などを具体的に決めておくことが大切です。

同時に、預金管理や代理行為などは見守り契約には含まれないということも明確にしておいた方が、後の誤解を防ぎやすくなります。


状況が変われば、別の契約へつなげる

見守り契約を始めた時点では、本人が元気で何でも自分でできていても、数年後には状況が変わることがあります。

例えば、

外出が難しくなった
↓
財産管理等委任契約を検討


判断能力が低下してきた
↓
任意後見制度を検討


死亡後
↓
死後事務委任契約

という流れです。

見守り契約の重要な役割の一つは、

「今の支援では足りなくなってきた」という変化に気付くこと

にあります。


見守り契約は「何もしない時期」の契約ではありません

本人が元気な間は、「まだ何も困っていないから契約する必要はない」

と思われるかもしれません。

しかし、見守り契約は、何か大きな手続きを代行するためだけの契約ではありません。

本人が元気なうちから定期的に連絡を取り、状況の変化を把握しておくこと自体に意味があります。

特に、将来任意後見や死後事務をお願いする相手と、元気なうちから関係を築いておくという点も大切です。


見守り契約をお考えの方へ

松岡司法書士事務所では、見守り契約についてのご相談を承っています。

「具体的にどんなことをしてもらえる?」

「月に何回くらい連絡してもらえる?」

「財産管理も一緒にお願いしたい」

「任意後見や死後事務と一緒に考えたい」

という段階からでもご相談いただけます。

見守り契約は、本人の状況を定期的に確認し、必要な支援へつなげるための入口となる契約です。

何をお願いしたいのか、どこまで任せたいのかを整理したうえで、必要に応じて財産管理等委任契約や任意後見契約などと組み合わせて考えていきます。


詳しくは、松岡司法書士事務所のホームページをご覧ください。