相続した家が未登記だったら?固定資産税を払っていても登記がない?
父親が亡くなり、実家を相続することになった。
土地と建物の名義変更をしようと思い、登記簿を調べてみたところ……。
「あれ? 土地の登記はあるのに、建物の登記が見つからない!」
でも、実家は何十年も前から建っているし、毎年固定資産税も払っている。
「えっ? 固定資産税を払っているのに、家が登記されていないことなんてあるの?」
実は、あるんです。
建物が実際に存在していても、法務局に登記されていないケースがあります。
このような建物を「未登記建物」といいます。
では、未登記の家を相続した場合、どうすればいいのでしょうか?
今回は、未登記建物の相続と、必要な登記手続きについて分かりやすくご紹介します。
そもそも「未登記建物」って何?
不動産の登記というと、土地や建物の所有者の名前を記録するもの、というイメージがあるかもしれません。
実は、建物の登記には、大きく分けて2つの役割があります。
① 建物の物理的な状況を記録する登記
建物がどこに建っているのか、どんな構造なのか、床面積はどのくらいなのか、といった情報を記録するものです。
これを「建物表題登記」といいます。
② 建物の所有権を記録する登記
その建物が誰の所有物なのかを登記するものです。
新しく所有権を登記する場合には、「所有権保存登記」を行います。
未登記建物というのは、一般に、こうした建物の登記がされていない状態を指します。
なお、建物表題登記はされているものの、所有権保存登記だけがされていないケースもあります。
この2つは必要な手続きが異なるので、まず現在の登記状況を確認することが大切です。
固定資産税を払っているのに、どうして未登記なの?
ここが今回の大切なポイントです。
実は、固定資産税の課税と、不動産の登記は別の仕組みなんです。
固定資産税は、市区町村が土地や建物の状況を把握し、課税するものです。
そのため、法務局に登記されていない建物であっても、市区町村がその存在を把握していれば、固定資産税が課税されることがあります。
つまり、
「毎年、固定資産税を払っている」
ということと、
「法務局に建物が登記されている」
ということは、必ずしも同じではありません。
固定資産税の納税通知書が届いているからといって、建物の登記が済んでいるとは限らないのです。
未登記の家でも相続できる?
はい。相続できます。
建物が未登記だからといって、その建物に所有者がいないわけではありません。
例えば、父親が所有していた未登記の実家も、父親が亡くなれば相続の対象になります。
ただし、登記がない場合には、誰が建物を所有していたのかを証明するための資料が必要になることがあります。
また、相続人が複数いる場合には、遺言書の有無や遺産分割協議の内容などによって、誰が建物を取得するのかを確認する必要があります。
未登記でも相続はできますが、登記手続きを進める際には通常とは異なる準備が必要になる場合があるのです。
未登記の家を登記するには?
建物の登記がまったくされていない場合、一般的には次のような手順で進めます。
① 建物表題登記を行う
まず、法務局に建物の存在や構造、床面積などを登録するための「建物表題登記」を行います。
この手続きを専門としているのが、土地家屋調査士です。
土地家屋調査士が建物を調査し、必要な図面や書類を作成して登記を申請します。
例えば、相続した実家について、亡くなった父親が建物を所有していたことと、相続によって長男が取得したことを証明できれば、長男を表題部所有者として登記できる場合があります。
なお、建物表題登記には法律上、原則として所有権取得から1か月以内という申請期限が設けられています。
長年未登記のままになっている場合も、早めに確認しておきたいところです。
② 所有権保存登記を行う
建物表題登記が完了すると、建物の登記記録が作成されます。
その後、必要に応じて「所有権保存登記」を行います。
これは、建物について最初に所有権を登記する手続きです。
こちらは、司法書士が専門とする登記になります。
所有権保存登記を行うことで、登記記録に所有者の権利が記録されます。
このように、未登記建物の登記では、土地家屋調査士と司法書士がそれぞれの専門分野を担当することがあります。
昔の家で、建築したときの書類がなくても大丈夫?
「実家が建てられたのは40年以上前」
「建築確認の書類なんて、どこにあるのか分からない」
そんな場合もあるでしょう。
建物表題登記では、建物の所有権を証明するため、建築確認関係の書類や工事完了引渡証明書などを使用することがあります。
しかし、古い建物では、こうした書類が残っていないケースもあります。
その場合でも、固定資産税の資料など、ほかの書類や調査結果を組み合わせて登記を進められることがあります。
ただし、どのような資料で所有権を証明できるかは、建物の状況によって異なります。
建築当時の書類がないからといって、必ず登記できないというわけではありません。
まずは手元にある資料を確認し、土地家屋調査士に相談することが大切です。
未登記の家は売却できる?
「相続した実家を売却しようと思ったら、建物が未登記だった!」
そんなケースもあるかもしれません。
未登記建物であっても、売買契約を結ぶこと自体が直ちにできなくなるわけではありません。
ただし、実際に売却する際には注意が必要です。
例えば、買主が住宅ローンを利用する場合です。
金融機関が建物に抵当権を設定するには、原則として所有権の登記が必要になります。
そのため、建物が未登記のままだと、融資や売買手続きに支障が生じることがあります。
また、買主へ所有権を移転する登記を行うためにも、建物の登記を整える必要があります。
実家の売却を考えている場合には、早めに建物の登記状況を確認しておくことが大切です。
市役所で所有者変更の届出をすれば、それで終わり?
未登記建物については、市区町村に所有者変更の届出をする制度があります。
例えば、芦屋市では「未登記家屋等所有者変更届出書」という書類が用意されています。
これは、未登記家屋などの所有者が変わった場合に、固定資産税の課税に関する所有者情報を変更するための届出です。
ただし、ここで注意したいことがあります。
市役所へ所有者変更の届出をしても、法務局で建物が登記されるわけではありません。
あくまで、固定資産税に関する手続きです。
法務局で行う不動産登記とは別のものになります。
自治体によって届出方法や必要書類が異なりますので、具体的な手続きは不動産所在地の市区町村に確認しましょう。
相続登記の義務化とは関係ある?
2024年4月1日から、相続登記が義務化されています。
ただし、建物がまったく登記されていない場合には、少し事情が異なります。
今回の相続登記の義務化は、基本的には、すでに所有権の登記がある不動産について、相続による所有権移転登記を申請する義務を定めたものです。
そのため、所有権の登記がない未登記建物には、この相続登記の3年間の申請義務が直接適用されるわけではありません。
しかし、だからといって、未登記建物を放置してよいという意味ではありません。
建物表題登記には、先ほど説明したように、別の申請義務があります。
また、土地の登記がある場合には、その土地について相続登記の義務が生じることがあります。
土地と建物を分けて確認することが大切です。
まずは何を確認すればいい?
相続した家が未登記かもしれない場合には、次の点を確認しましょう。
土地と建物それぞれの登記記録があるか
建物表題登記だけがされている状態ではないか
固定資産税の課税明細書に建物が記載されているか
建築当時の書類や古い契約書が残っていないか
遺言書や遺産分割協議書があるか
今後、建物を売却する予定があるか
特に、建物が未登記なのか、それとも所有権保存登記だけがされていないのかによって、必要な手続きは変わります。
まずは現在の状況を確認することから始めましょう。
まとめ 相続した家が未登記でも、登記する方法はあります!
相続した実家について、土地の登記はあるのに建物の登記が見つからない。
毎年固定資産税を払っていたのに、実は未登記だった。
そんな場合でも、必要な資料を確認し、登記手続きを進めることは可能です。
建物の登記がまったくない場合には、建物表題登記と所有権保存登記という手続きが関係します。
「昔建てた実家が未登記だった」
「固定資産税を払っているのに建物の登記がない」
「未登記の家を相続したけれど、どうすればいい?」
「未登記建物を売却したい」
そんな場合は、まず現在の登記状況を確認してみましょう。
未登記だからといって、相続や売却をあきらめる必要はありません。
▶ 司法書士とは?どんなときに相談する人?|松岡司法書士事務所
