2026年9月20日日曜日

遺言① 自筆証書遺言を見つけたらどうする?開封・検認・相続手続きの流れ

 


自筆証書遺言を見つけたらどうする?開封・検認・相続手続きの流れ

ご家族が亡くなった後、遺品を整理していると、

「遺言書」と書かれた封筒が出てきた。

そんな場合、

「中を確認してもいいの?」
「家庭裁判所に持っていく必要がある?」
「このまま相続登記に使える?」

と迷われる方も多いと思います。

自宅などで保管されていた自筆証書遺言の場合、まず確認したいのが「家庭裁判所での検認が必要な遺言書かどうか」です。

今回は、自筆証書遺言を見つけたときの注意点から、検認、その後の相続手続きまで説明します。


自筆証書遺言を見つけたら、まずどうする?

まずは、遺言書や封筒の状態をそのまま保管してください。

特に、

封印のある遺言書は、自分で開封しないようにします。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人などの立会いのもとで開封することになっています。裁判所も、自筆の遺言書を発見した場合には、自分で開封せず、速やかに検認の申立てをするよう案内しています。

「内容を早く確認したい」と思っても、まずはそのままの状態で保管しておくのが安全です。

もし、すでに開封してしまったら?

知らずに開けてしまったということもあります。

その場合でも、開封したことだけで遺言書が当然に無効になるわけではありません。

すでに開封してしまった場合でも、その遺言書について家庭裁判所で検認の手続きを行います。裁判所も、検認前に開封してしまった場合でも、速やかに検認を申し立てるよう案内しています。

開封したからといって、

「もう使えない」

と判断して処分したり、書き込みをしたりせず、そのまま保管してください。


「検認」とは何をする手続き?

検認という言葉は、一般にはあまり聞き慣れないと思います。

検認は、家庭裁判所が、

・遺言書がどのような状態で存在しているか
・日付や署名はどうなっているか
・加筆や訂正があるか
・どのような内容が記載されているか

などを確認し、その時点での遺言書の状態を明確にする手続きです。

また、相続人に遺言書の存在と内容を知らせ、後から遺言書が偽造・変造されることを防止する意味もあります。


検認を受ければ「有効な遺言書」になる?

ここは非常に重要です。

検認は、その遺言書が法律上有効か無効かを判断する手続きではありません。

例えば、

「検認が終わったから、この遺言書は間違いなく有効」

ということにはなりません。

反対に、遺言書の内容や作成方法について問題があるからといって、検認の手続きの中で無効と判断されるわけでもありません。

裁判所も、検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではないと明確に案内しています。

遺言の有効性について相続人間で争いがある場合には、検認とは別の問題として対応することになります。


誰が検認を申し立てる?

検認を申し立てることができるのは、基本的に、

・遺言書を保管していた人
・遺言書を発見した相続人

です。

申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

例えば、亡くなった方の最後の住所が芦屋市であれば、その住所を基準に管轄する家庭裁判所を確認します。


検認の申立てには何が必要?

一般的には、

・遺言書検認申立書
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍
・相続人全員の戸籍
・遺言書
・収入印紙
・裁判所からの連絡等に必要な郵便費用

などを準備します。

相続関係によっては、さらに戸籍が必要になることがあります。

例えば、子どもがいない方で兄弟姉妹が相続人になる場合や、すでに亡くなった相続人がいて代襲相続が発生している場合などは、必要な戸籍が増えることがあります。

現在、検認申立ての手数料は遺言書1通につき収入印紙800円分で、これとは別に連絡用の郵便費用が必要です。


検認の日には相続人全員が集まる?

検認の申立てをすると、家庭裁判所から相続人に検認期日の通知が送られます。

ただし、申立人以外の相続人全員が出席しなければ検認できないわけではありません。

出席するかどうかは各相続人の判断で、全員がそろわなくても検認手続きを行うことができます。

検認期日には、申立人が遺言書を持参し、封印された遺言書であれば家庭裁判所で開封して、その状態や内容が確認されます。


検認が終わったら、それで相続手続きは終了?

検認は、あくまで遺言書について行う手続きです。

検認が終わった後は、その遺言書の内容に応じて、

・不動産の相続登記
・預貯金の解約や払戻し
・株式や証券の名義変更
・遺贈の手続き
・遺言執行

などを進めていくことになります。

家庭裁判所で検認が終わった後、遺言の内容を実現するためには、必要に応じて検認済証明書の交付を受けます。自宅等で保管されていた自筆証書遺言を相続登記に使用する場合、法務局では原則として検認済証明書付きの遺言書が必要です。

つまり、

遺言書発見 → 検認 → 相続登記などの実際の相続手続き

という流れになります。


すべての自筆証書遺言に検認が必要?

いいえ。

ここも重要です。

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認は必要ありません。

法務局で遺言書を保管する制度では、原本と画像データが法務局で保管され、相続開始後は相続人などが遺言書情報証明書の交付を請求できます。

また、公正証書遺言についても検認は不要です。

したがって、遺言書を見つけたら、まず、

自宅等で保管されていた自筆証書遺言なのか
法務局で保管されている自筆証書遺言なのか
公正証書遺言なのか

を確認することが大切です。


法務局に遺言書が保管されているか分からない場合は?

「本人から遺言書を書いたと聞いていたけれど、家の中を探しても見つからない」

「法務局に預けたと言っていたような気がする」

という場合もあります。

自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、相続開始後、相続人などは法務局で遺言書の内容に関する証明書を請求することができます。

また、この制度には、一定の場合に相続人等へ遺言書が保管されていることを知らせる通知制度もあります。

この制度については、次回以降の記事で詳しく取り上げたいと思います。


遺言執行者が指定されていたら?

遺言書の中に、

「遺言執行者として○○を指定する」

という記載があることがあります。

遺言執行者は、遺言内容を実現するために必要な手続きを行う人です。

例えば、遺言内容によっては、不動産登記、預貯金手続き、受遺者への財産の引渡しなどを行います。

誰が遺言執行者に指定されているかは、その後の手続きを進めるうえでも重要です。

一方、遺言執行者の指定がない場合でも、内容によってはそのまま相続手続きを進められる場合もあれば、家庭裁判所で遺言執行者の選任が必要になる場合もあります。


遺言書を見つけたら、すぐに相続人だけで判断しない

自筆証書遺言が出てくると、

「この内容どおりにすればいいのだろう」

と考えがちですが、まず確認すべきことがあります。

・検認が必要な遺言書か
・遺言書の方式に問題がないか
・遺言執行者が指定されているか
・不動産についてどのような記載があるか
・預貯金などの記載はどうなっているか
・遺言書作成後に財産内容が変わっていないか

などです。

遺言書の内容によって、その後に必要となる戸籍や登記手続きも変わります。

遺言書を見つけたら、まず原本をそのまま保管し、必要な手続きを確認してから動くことが大切です。

自筆証書遺言を見つけた方へ

松岡司法書士事務所では、芦屋市を中心に、西宮市・神戸市東灘区などで、遺言書の検認や相続手続き、相続登記などのご相談を承っています。

「遺品整理をしていたら遺言書が出てきた」

「封筒を開けてもいいのか分からない」

「検認をどうやって申し立てればいいのか分からない」

「検認後の相続登記までまとめて相談したい」

という段階でもご相談いただけます。

最初から戸籍などをすべてそろえていただく必要はありません。

お手元の遺言書や戸籍などを確認しながら、必要な手続きを整理していきます。


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