親の自宅を売るために成年後見制度を利用する場合
「認知症の母が施設に入所している。自宅を売却するためには、どんな手続きが必要なの?」
「成年後見人を選んでもらえば、すぐに実家を売却できる?」
「家庭裁判所の許可が必要と聞いたけれど、何を準備すればいいの?」
高齢の親が認知症などによって判断能力を失い、自分で不動産の売買契約を締結できなくなった場合、成年後見制度の利用を検討することがあります。
例えば、親が介護施設へ入所し、誰も住まなくなった自宅を売却して、今後の施設費用に充てたい場合です。
しかし、成年後見人が選任されれば、直ちに自宅を売却できるというわけではありません。
本人の居住用不動産を売却する場合には、原則として、家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
また、成年後見人を選任する手続きと、居住用不動産の売却について許可を受ける手続きは、それぞれ別の手続きです。
今回は、認知症などによって判断能力が低下した親の自宅を、成年後見制度を利用して売却する場合の手続きについて、申立てから後見人の選任、売却許可、売買契約、所有権移転登記までの流れを説明します。
① 認知症の母が施設に入所。自宅を売却したい
これまでと同じ家庭を考えてみましょう。
母:83歳。芦屋市内の一戸建て住宅を所有
長男:55歳。西宮市在住
長女:52歳。神戸市在住
父:10年前に死亡
母は長年、芦屋市内の自宅で生活していました。
しかし、転倒による入院をきっかけに介護施設へ入所することになり、その後、認知症が進行しました。
現在は、自宅の売却について十分に理解して判断することが難しい状態です。
一方、自宅には誰も住んでおらず、建物の管理や固定資産税などの費用がかかっています。
母の預貯金も少なくなってきたため、長男と長女は自宅を売却し、その代金を母の施設費用に充てたいと考えました。
しかし、自宅は母の単独名義です。
長男と長女が話し合っても、母の代わりに自由に売却することはできません。
そこで、成年後見制度の利用を検討することになりました。
このような場合、どのような順番で手続きを進めることになるのでしょうか。
② 成年後見制度を利用すれば、自宅を売却できる?
成年後見制度は、認知症などによって判断能力が不十分な方について、財産管理や法律行為などを支援するための制度です。
2026年10月時点で施行されている法定後見制度には、後見・保佐・補助の3つの類型があります。
本人の判断能力の程度に応じて、利用する制度が異なります。
例えば、母が売買契約の意味を理解できず、日常的な財産管理も難しい状態にある場合には、後見開始の審判を申し立てることが考えられます。
家庭裁判所が後見開始の審判をすると、成年後見人が選任されます。
成年後見人には、本人の財産に関する法律行為について、包括的な代理権があります。
そのため、本人に代わって不動産の売却手続きを行うことも考えられます。
ただし、ここで注意したいことがあります。
成年後見人が本人の居住用不動産を売却する場合には、民法第859条の3に基づく家庭裁判所の許可が必要になるということです。
つまり、成年後見人が選任されるだけでは、自宅売却の手続きがすべて整うわけではありません。
③ 成年後見制度の申立ては誰ができる?
例えば、母について成年後見制度を利用する必要がある場合です。
長男や長女は、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てることができます。
後見開始の審判を申し立てることができる方には、次のような方が含まれます。
本人
配偶者
四親等内の親族
検察官
市区町村長
その他法律で定められた方
したがって、長男や長女が申立人になることは可能です。
申立先は、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
例えば、母の住所地が芦屋市の場合には、管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
なお、母が施設へ入所している場合には、住民票上の住所だけでなく、実際の生活の本拠なども確認する必要があります。
また、成年後見制度を利用する場合には、後見開始の審判が適切なのか、保佐や補助の制度が適切なのかを検討する必要があります。
認知症と診断されたという理由だけで、必ず後見開始の審判を申し立てることになるわけではありません。
④ 後見開始の申立てには、どのような書類が必要?
後見開始の審判を申し立てる場合には、家庭裁判所に申立書や必要な資料を提出します。
一般的には、次のような書類を準備します。
後見開始等の申立書
申立事情説明書
親族関係図
親族の意見書など
本人の戸籍謄本
本人の住民票または戸籍附票
成年後見人候補者の住所関係資料
医師の診断書
本人情報シート
成年後見等の登記がされていないことの証明書
財産目録
収支予定表
預貯金や不動産などの財産に関する資料
ただし、必要書類は申立ての内容や家庭裁判所の取扱いによって異なります。
例えば、本人が不動産を所有している場合には、登記事項証明書などが必要になります。
また、預貯金については通帳の写しや残高を確認できる資料などを準備します。
本人の収入や支出についても、年金収入、施設利用料、医療費などを確認する必要があります。
今回のケースでは、自宅の売却を検討しているため、母の不動産と預貯金、施設費用などを整理しておくことが重要になります。
⑤ 後見開始の申立てには、どのくらい費用がかかる?
後見開始の申立てには、裁判所へ納める費用が必要になります。
2026年10月時点の裁判所の案内では、後見開始の申立てについて、次の費用が示されています。
申立手数料
収入印紙800円分
後見登記に関する手数料
収入印紙2,600円分
郵便料
申立てをする家庭裁判所によって異なります。
このほか、戸籍謄本などの取得費用や、医師の診断書作成費用などがかかります。
また、家庭裁判所が必要と判断した場合には、本人の判断能力について鑑定を行うことがあります。
鑑定が行われる場合には、別途鑑定費用が必要になります。
さらに、司法書士などに申立書類の作成を依頼する場合には、その報酬も必要になります。
そのため、成年後見制度の申立てにかかる費用は、収入印紙代だけではありません。
申立て前に必要な書類と費用の全体を確認しておくとよいでしょう。
⑥ 成年後見人は誰が選ばれる?
長男が申立人となり、自分を成年後見人の候補者として申し立てた場合を考えてみましょう。
この場合、長男が必ず成年後見人に選任されるわけではありません。
成年後見人は、家庭裁判所が本人の事情などを考慮して選任します。
親族が選任される場合もありますが、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職が選任される場合もあります。
例えば、本人に不動産や多額の預貯金がある場合、財産管理の内容によっては専門職後見人が選任されることがあります。
また、親族間で財産管理について意見が対立している場合などにも、家庭裁判所が適切な後見人を判断することになります。
なお、成年後見人に選任された方は、本人の財産を自分の財産と区別して管理しなければなりません。
親族が後見人に選任された場合であっても、親の預貯金や不動産を自由に使えるわけではありません。
成年後見人は家族の利益ではなく、本人の利益のために職務を行う立場にあります。
⑦ 成年後見人が選任されたら、最初に何をする?
成年後見人が選任された場合、直ちに自宅の売却だけを進めるわけではありません。
まず、本人の財産や生活状況を確認します。
例えば、次のような事項です。
預貯金の残高
年金などの収入
施設利用料や医療費
不動産の所有状況
借入金や未払金の有無
今後必要になる生活費
そして、財産目録や収支予定表などを作成し、家庭裁判所に提出します。
今回のケースでは、母が施設で生活するために、今後どの程度の費用が必要になるのかを確認します。
例えば、年金収入と施設利用料との差額が大きく、預貯金が今後不足する見込みであれば、自宅売却の必要性を検討することになります。
一方、預貯金や年金で施設費用を十分に負担できる場合には、売却する必要性について別の観点から検討することになります。
成年後見人が自宅を売却する場合には、まず本人の生活や財産の状況を把握することが重要です。
⑧ 施設に入って空き家になった自宅も、居住用不動産になる?
成年後見人が本人の不動産を売却する場合、特に注意したいのが「居住用不動産」に該当するかどうかです。
民法第859条の3では、成年後見人が本人の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要とされています。
例えば、母が芦屋市内の自宅に長年住んでいた場合です。
現在は施設へ入所しているため、自宅は空き家になっています。
しかし、すでに誰も住んでいないからといって、居住用不動産に該当しなくなるわけではありません。
裁判所は、本人が現在は施設などに入所しているため居住していない場合でも、入所前に居住していた住宅などについては居住用不動産に含まれると案内しています。
また、将来本人が居住する可能性がある住宅についても、居住用不動産に該当する場合があります。
したがって、今回の母の自宅についても、居住用不動産として家庭裁判所の許可を受ける必要があると考えられます。
なお、居住用不動産の処分には、売却だけでなく、賃貸借契約の締結・解除、抵当権の設定、建物の取り壊しなども含まれます。
現在住んでいるかどうかだけで判断せず、過去の居住状況や今後の利用予定などを確認する必要があります。
⑨ 家庭裁判所に売却許可を申し立てる前に何をする?
成年後見人が自宅を売却する必要があると判断した場合、まず売却に向けた準備を進めます。
例えば、不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を確認します。
また、建物の状態や権利関係、固定資産税の評価額なども確認します。
次に、売却の条件を検討し、買主を探します。
ここで重要なのは、家庭裁判所への許可申立てのタイミングです。
神戸家庭裁判所は、居住用不動産の処分許可申立てについて、取引が成立する一歩前の段階で行うよう案内しています。
具体的には、売却の場合、買主や契約内容が決まり、売買契約書に押印する前の段階です。
したがって、単に「将来、自宅を売却したい」という段階ではなく、具体的な売却条件を整理したうえで申立てを行うことになります。
また、家庭裁判所の審理には一定の日数を要します。
そのため、不動産の決済日などについても、審理期間を考慮して余裕を持って設定する必要があります。
売却の準備を進める際には、不動産会社や買主に対して、家庭裁判所の許可が必要な取引であることを説明しておくとよいでしょう。
⑩ 居住用不動産処分許可の申立てには何が必要?
今回のケースで、成年後見人が母の自宅を売却することになったとします。
神戸家庭裁判所が公開している案内では、不動産売却の場合、主に次のような書類が必要とされています。
1.居住用不動産処分許可申立書
売却する不動産や、処分の必要性などを記載します。
2.不動産の登記事項証明書
売却対象となる土地や建物を確認する資料です。
3.売買契約書の案
買主や売却価格など、具体的な契約内容を確認するために使用します。
4.売却価格が適正であることを示す資料
不動産会社が作成した査定書や評価書などです。
5.売却の必要性を説明する書面
なぜ本人の自宅を売却する必要があるのかを説明します。
また、本人の生活状況や今後の居住場所、本人の意向などについても説明する必要があります。
さらに、本人の施設費用などに充てるために売却する場合には、その必要性を確認できる資料が判断材料になることがあります。
例えば、預貯金の残高や施設利用料などです。
ただし、個別の事情によっては、裁判所から追加資料を求められる場合があります。
なお、神戸家庭裁判所の公開案内では、居住用不動産処分許可の申立手数料として収入印紙800円分が必要とされています。
郵便料についても、申立先の案内に従って確認します。
⑪ 家庭裁判所は、どのような点を確認する?
成年後見人が居住用不動産の処分許可を申し立てた場合、家庭裁判所は、本人にとってその売却が適切かどうかを検討します。
例えば、次のような事情が関係します。
売却する必要性があるか
施設費用や医療費を支払うために資金が必要なのか、自宅の維持管理が難しくなっているのかなどを確認します。
本人の生活の場が確保されているか
自宅を売却した後も、本人が安心して生活できる場所が確保されているかが重要になります。
売却価格が適切か
不動産の査定価格や取引条件などから、不当に安い価格で売却されることがないかを確認します。
本人の意向はどうか
本人が現在どのような意思を示しているのか、これまで自宅についてどのような希望を持っていたのかなども考慮することになります。
売却代金をどのように管理するか
売却代金が本人の財産として適切に管理され、今後の生活に役立てられるかという点も重要です。
ただし、これらの事情がそろっていれば、必ず許可されるというわけではありません。
家庭裁判所は、個別の事情に基づいて判断します。
したがって、単に空き家になっているという理由だけでなく、本人にとって売却が必要であり、価格や条件も適切であることを説明できるようにしておく必要があります。
⑫ 家庭裁判所の許可が出たら、売買契約を締結する
家庭裁判所から居住用不動産の処分許可を得た場合には、その許可内容を確認したうえで売買契約を進めます。
例えば、母の自宅について、売却価格1,500万円での売却許可を得た場合です。
成年後見人は、本人の法定代理人として売買契約を締結することになります。
このとき、売買契約の当事者としての売主は、あくまでも不動産の所有者である母です。
成年後見人自身が所有者になるわけではありません。
そのため、成年後見人は、母の法定代理人という立場で契約を締結します。
また、許可を得た条件から売却価格や買主、契約内容などが変更される場合には、家庭裁判所への確認が必要になることがあります。
特に、売却価格が下がる場合や、契約内容が大きく変わる場合には注意が必要です。
家庭裁判所の許可は、どのような条件で売却してもよいという包括的な許可ではないことを理解しておく必要があります。
⑬ 売買代金の決済と所有権移転登記はどうする?
売買契約を締結した後は、契約内容に従って売買代金の決済と不動産の引渡しを行います。
一般的には、売買代金の支払いに合わせて、買主への所有権移転登記を申請します。
今回のケースでは、成年後見人が母の法定代理人として売却に必要な手続きを行います。
登記申請に際しては、通常の不動産売買で必要になる資料に加えて、成年後見人の代理権や家庭裁判所の許可を確認するための資料も必要になります。
例えば、次のような資料です。
不動産の登記識別情報など
登記名義人の印鑑証明書など、登記手続きに必要な資料
売買契約書などの登記原因を確認する資料
成年後見人の代理権を確認できる登記事項証明書
家庭裁判所の居住用不動産処分許可の審判書など
ただし、実際の必要書類は登記の内容や代理人の状況などによって異なります。
また、所有権移転登記の前提として、登記名義人の住所や氏名が現在の記録と一致しているかなども確認します。
そのため、決済日が決まってから慌てて書類を準備するのではなく、売買契約の段階から登記に必要な資料を確認しておくことが大切です。
⑭ 売却した代金は誰が管理する?
例えば、母の自宅が1,500万円で売却された場合です。
この売却代金は、原則として所有者である母の財産になります。
成年後見人は、母の財産として売却代金を適切に管理する必要があります。
例えば、母名義の預貯金口座で管理し、施設利用料や医療費、生活費などに充てることが考えられます。
一方、長男や長女が将来の相続人だからといって、売却代金を自由に分けることはできません。
また、成年後見人が親族であっても、本人の財産を自分の財産と混同してはいけません。
成年後見人は、家庭裁判所による監督のもとで財産を管理します。
不動産の売却によって預貯金が大幅に増加した場合には、その後の財産管理についても適切に対応する必要があります。
自宅の売却は、財産を現金に換える手続きであって、親の財産を子どもに分配する手続きではありません。
⑮ 後見人自身が自宅を買い取ることはできる?
成年後見人が親族の場合には、利益相反の問題が生じることがあります。
例えば、長男が母の成年後見人に選任されている場合です。
長男が、母の自宅を自分で買い取りたいと考えたとします。
この場合、長男は買主になると同時に、売主である母の成年後見人という立場にもあります。
しかし、買主である長男にとっては、できるだけ安く購入したいという利益があります。
一方、売主である母にとっては、適正な価格で売却することが重要になります。
このように、成年後見人と本人の利益が対立する関係を、利益相反といいます。
この場合、長男が母の代理人として自分自身と売買契約を締結することはできません。
後見監督人が選任されていない場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。
特別代理人が選任された場合には、その特別代理人が本人の利益を守る立場で手続きを行います。
また、居住用不動産である場合には、利益相反への対応とは別に、家庭裁判所の処分許可も必要になります。
親族が成年後見人に選任されている場合には、売却相手との関係によって利益相反の問題が生じないかも確認する必要があります。
⑯ 自宅の売却が終われば、成年後見制度も終了する?
成年後見制度を利用して自宅を売却した場合、売却が終われば成年後見制度も終了するのでしょうか。
2026年10月時点で施行されている制度では、原則として終了しません。
成年後見制度は、自宅の売却だけを目的とする制度ではないからです。
例えば、母の自宅を売却した後も、成年後見人は母の施設費用の支払いや預貯金の管理などを継続して行います。
また、成年後見人が専門職である場合には、家庭裁判所が報酬付与の審判を行い、本人の財産から報酬が支払われることがあります。
親族が成年後見人である場合も、報酬付与の申立てを行うことはできます。
ただし、成年後見人が自由に報酬額を決めることはできません。
報酬を受け取るには、家庭裁判所の審判が必要になります。
そのため、成年後見制度の利用を検討する際には、自宅の売却が終わった後の財産管理や費用負担についても考えておく必要があります。
なお、2026年6月には成年後見制度を見直す改正法が成立・公布されています。
この改正では、後見・保佐を廃止して補助の制度に一元化し、必要な範囲で制度を利用できるようにすることなどが予定されています。
ただし、2026年10月時点では、成年後見制度の見直しに関する改正部分はまだ施行されていません。
今回説明しているのは、現時点で施行されている制度に基づく取扱いです。
成年後見制度の改正について
2026年6月24日に公布された民法等の一部を改正する法律では、従来の後見・保佐の制度を廃止し、補助制度に一元化することが予定されています。
改正後は、本人に必要な範囲で代理権などを付与し、その必要がなくなった場合には、家庭裁判所の判断によって制度の利用を終了できる仕組みになります。
例えば、不動産売却のために補助人へ代理権を付与した場合、売却後にその支援が不要となれば、審判の取消しを検討できるようになります。
ただし、本人の居住用不動産を補助人が代理して売却する場合には、改正後も家庭裁判所の許可が必要です。
なお、2026年10月時点では改正部分は未施行であり、現在の後見・保佐・補助の制度が適用されています。
⑰ 今回のケースでは、どのように進めるのがよい?
最初の事例に戻ってみましょう。
83歳の母は認知症が進行し、自分で不動産の売買契約を締結することが難しい状態です。
現在は介護施設で生活しており、芦屋市内の自宅は空き家になっています。
長男と長女は、自宅を売却して今後の施設費用に充てたいと考えています。
このような場合、まず本人の判断能力を確認したうえで、成年後見制度の利用を検討します。
後見開始の審判を申し立てることが適切と考えられる場合には、必要な診断書や財産資料などを準備します。
家庭裁判所で成年後見人が選任された後は、本人の財産や生活状況を確認します。
そして、自宅を売却する必要があると判断した場合には、不動産会社による査定を受け、売却条件を整理します。
買主や契約内容が決まった段階で、家庭裁判所へ居住用不動産処分許可を申し立てます。
家庭裁判所の許可を得られた場合には、許可内容に従って売買契約を締結し、売買代金の決済と所有権移転登記を進めます。
売却代金は、母の財産として成年後見人が管理し、今後の施設費用などに充てることになります。
ただし、成年後見制度の利用や自宅の売却が、すべてのケースで適切とは限りません。
例えば、本人が自宅へ戻る可能性がある場合や、売却する必要性が乏しい場合には、ほかの方法を検討することも考えられます。
自宅の売却を最初から決めてしまうのではなく、本人の生活状況や財産の状態を確認し、本人にとって適切な方法を選ぶことが重要です。
まとめ
認知症などによって判断能力が低下した親の自宅を売却する場合には、成年後見制度の利用を検討することがあります。
ただし、成年後見人が選任されれば直ちに売却できるわけではありません。
本人の居住用不動産を処分するためには、家庭裁判所の許可が必要になります。
今回のポイントを整理すると、
成年後見制度の利用には、家庭裁判所への申立てが必要になる
後見開始の申立てには、診断書や財産関係資料などを準備する
成年後見人は家庭裁判所が選任するため、必ず親族が選ばれるわけではない
成年後見人は本人の財産や生活状況を確認し、適切に管理する必要がある
施設へ入所して空き家になった自宅も、居住用不動産に該当する場合がある
成年後見人が本人の居住用不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要になる
売却許可の申立ては、買主や契約内容が決まった段階で行う
売却許可の申立てには、売買契約書案や査定書などが必要になる
家庭裁判所は売却の必要性や価格、本人の生活状況などを確認する
許可を得た後は、その内容に従って売買契約や所有権移転登記を行う
売却代金は本人の財産として適切に管理する
成年後見人自身が不動産を購入する場合などには、利益相反の問題が生じる
自宅の売却が終わっても、原則として成年後見制度は終了しない
成年後見制度については、今後の法改正にも注意する必要がある
ということになります。
高齢の親が認知症になり、自宅の売却が必要になった場合には、法律上の権限や家庭裁判所の手続きが問題になります。
そのため、通常の不動産売買よりも準備する書類や確認すべき事項が多くなることがあります。
また、売却の必要性や価格について、家庭裁判所に説明する必要があります。
成年後見制度を利用して親の自宅を売却する場合には、本人の利益を第一に考えながら、後見人の選任、家庭裁判所の許可、売買契約、所有権移転登記という順番で手続きを進めることが大切です。
参考資料
