遺産承継業務を司法書士に依頼すると費用はいくら?報酬・実費・依頼するメリット
ご家族が亡くなられた後、相続手続きを専門家に任せようと思っても、気になるのが費用ではないでしょうか。
「銀行の相続手続きを全部お願いすると、いくらかかるの?」
「不動産の相続登記も一緒に依頼すると高くなる?」
「自分で手続きすれば費用はかからないの?」
これまで、遺産承継業務とは何か、預貯金の相続手続き、遺言執行との違いについてご紹介してきました。
シリーズ最終回となる今回は、遺産承継業務を司法書士に依頼した場合の費用と、依頼するメリットについて説明します。
遺産承継業務の費用は全国一律ではありません
まず知っておきたいのは、司法書士の報酬は全国一律ではないということです。
以前は司法書士の報酬基準がありましたが、現在は各司法書士が報酬を定め、依頼者に報酬額や算定方法、必要な費用を説明し、合意のうえで決定する仕組みになっています。
そのため、同じ遺産承継業務でも、依頼する事務所によって報酬が異なる場合があります。
また、相続財産の額だけでなく、
相続人の人数
金融機関の数
不動産の有無
戸籍収集の範囲
相続財産の種類
依頼する業務の範囲
などによっても費用が変わることがあります。
「遺産承継業務だから必ず○万円」と一律に決められるものではありません。
費用は「司法書士報酬」と「実費」に分かれます
遺産承継業務を依頼した場合の費用は、大きく分けて2つあります。
1.司法書士への報酬
司法書士が相続人の確認、相続関係書類の作成、預貯金の解約・払戻しなどを行うことに対する報酬です。
報酬の計算方法には、相続財産の価額に一定の割合を掛ける方法や、依頼する手続きごとに金額を定める方法などがあります。
複数の金融機関の手続きや不動産の相続登記などをまとめて依頼する場合と、銀行1行の払戻しだけを依頼する場合とでは、業務の範囲が異なります。
2.手続きに必要な実費
司法書士への報酬とは別に、実際の相続手続きに必要な費用が発生します。
例えば、
戸籍謄本・除籍謄本などの取得費用
住民票や印鑑証明書などの取得費用
登記事項証明書などの取得費用
郵送料
金融機関への振込手数料
相続登記の登録免許税
その他、手続きに必要となる費用 などです。
これらは司法書士への報酬とは別の費用ですので、見積りの際には報酬と実費を分けて確認することが大切です。
相続登記の登録免許税はいくら?
相続財産に不動産がある場合には、相続登記の登録免許税にも注意が必要です。
相続による不動産の所有権移転登記では、原則として、固定資産税評価額などを基にした課税価格に0.4%を掛けて登録免許税を計算します。
例えば、計算の基礎となる不動産の価格が2,000万円であれば、
2,000万円 × 0.4% = 8万円となります。
これは司法書士の報酬ではなく、国に納付する税金です。
なお、一定の要件を満たす土地の相続登記には、登録免許税の免税措置が設けられています。
そのため、実際の登録免許税は不動産の評価額や適用される制度を確認して計算する必要があります。
遺産承継業務の報酬は財産額だけで決まる?
相続財産の額を基準として報酬を計算する場合でも、財産額だけで仕事の難しさが決まるわけではありません。
例えば、相続財産が3,000万円だったとしても、
ケースA
相続人が2人で、銀行口座が1つだけ。
ケースB
相続人が5人で、銀行口座が6つあり、不動産も複数ある。
この2つでは、同じ財産額であっても必要となる手続きの量が異なります。
また、戸籍の収集が複雑な場合や、何代にもわたる相続が発生している場合には、確認する事項が増えることがあります。
そのため、報酬を検討する際には、相続財産の額だけでなく、実際に必要となる業務の内容や範囲を確認することが大切です。
具体的な費用については、依頼する業務の内容を確認したうえで、事前に見積りを受けることをおすすめします。
銀行の預貯金だけでも依頼できる?
遺産承継業務というと、不動産や多額の相続財産がなければ依頼できないと思われるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
例えば、
「亡くなった母の銀行預金を解約したい」
「銀行が3行あるので、まとめて手続きしてほしい」
という場合です。
不動産がなくても、預貯金の相続手続きだけをご依頼いただくことができます。
また、反対に、「銀行の手続きは自分でするので、相続登記だけお願いしたい」という依頼も可能です。
必ずすべての相続手続きを依頼しなければならないわけではありません。
どの手続きをご自身で行い、どの部分を司法書士へ依頼するかを考えることもできます。
自分で手続きすれば費用はかからない?
相続手続きは、相続人ご自身で進めることもできます。
例えば、銀行の預貯金の相続手続きについては、必要な書類をそろえて金融機関へ提出することで、相続人自身が進められる場合があります。
その場合には、司法書士への報酬は必要ありません。
ただし、戸籍の取得費用や郵送料などの実費がなくなるわけではありません。
また、相続登記を自分で申請する場合も、登録免許税などは原則として必要です。
したがって、「自分で手続きする=すべて無料」というわけではありません。
専門家へ依頼する場合との大きな違いは、手続きに必要な時間や労力をどの程度ご自身で負担するかという点です。
司法書士にまとめて依頼するメリットは?
遺産承継業務を依頼するメリットとして、次のような点が挙げられます。
複数の金融機関の手続きをまとめて進められる
亡くなった方が複数の銀行に口座を持っている場合、それぞれの金融機関で相続手続きを行う必要があります。
金融機関ごとに必要書類や提出方法が異なることもあります。
こうした手続きをまとめて依頼できれば、相続人自身が何度も金融機関とやり取りする負担を減らせる場合があります。
戸籍の収集から依頼できる
相続では、誰が相続人になるのかを戸籍で確認する必要があります。
婚姻や転籍などによって、複数の市区町村から戸籍を取り寄せなければならない場合もあります。
そのような戸籍の収集から依頼することができます。
相続登記もあわせて進められる
不動産と預貯金の両方がある場合には、相続登記と預貯金の手続きをまとめて進めることができます。
それぞれの手続きで共通する戸籍や相続関係の資料などを整理しながら進められる点もメリットです。
相続人が遠方に住んでいても相談できる
相続人が東京や大阪など、別々の地域に住んでいる場合もあります。
そのような場合には、郵送などを利用しながら必要書類の準備や手続きを進めることが考えられます。
特に、平日に何度も銀行や役所へ行くことが難しい方にとっては、専門家へ依頼する意味があるでしょう。
依頼する前に確認しておきたいこと
遺産承継業務を専門家へ依頼する際には、単に報酬額だけを見るのではなく、
「その報酬で、どこまでの手続きを行ってもらえるのか」
を確認することが重要です。
例えば、
戸籍の収集は含まれるのか
預貯金は何行まで対応するのか
相続登記の司法書士報酬は含まれるのか
法定相続情報一覧図の作成は含まれるのか
登録免許税などの実費はいくらか
追加費用が生じるのはどのような場合か
といった点です。
同じ「遺産承継業務」という名称でも、依頼する内容や事務所によって報酬に含まれる業務が異なる場合があります。
そのため、報酬額だけでなく、業務の範囲を含めた見積りを確認することをおすすめします。
遺産承継業務ですべての相続問題を解決できる?
ここも注意が必要です。
遺産承継業務は、相続人間に争いがないことを基本的な前提として進める業務です。
例えば、
「遺産の分け方について兄弟で争っている」
「特定の相続人が財産を使い込んだとして返還を求めたい」
など、法律上の紛争がある場合には、司法書士が一方の相続人の代理人となって交渉することはできません。
また、相続税の申告や税務相談については税理士の業務となります。
そのため、必要に応じて弁護士や税理士など、他の専門家への相談が必要になることがあります。
費用だけでなく、負担とのバランスも大切です
遺産承継業務を専門家へ依頼すると、当然ながら報酬が発生します。
相続財産の額や必要な手続きによっては、決して小さな金額ではないかもしれません。
そのため、すべてを専門家へ依頼することが、必ずしも全員にとって最善とは限りません。
一方で、
「平日に銀行へ行けない」
「相続人が遠方に住んでいる」
「手続きを何から始めればいいのか分からない」
「不動産も預貯金もまとめて整理したい」
という場合には、専門家へ依頼することで時間や手間の負担を減らせることがあります。
ご自身でできる手続きと、専門家へ任せた方がよい手続きを分けて考えることも大切です。
遺産承継業務をお考えの方へ
松岡司法書士事務所では、芦屋市・西宮市・神戸市を中心に、遺産承継業務、預貯金の相続手続き、相続登記などのご相談を承っています。
「銀行の相続手続きをまとめてお願いしたい」
「費用がどのくらいかかるのか知りたい」
「相続登記も一緒にお願いしたい」
「全部依頼するか、一部だけ依頼するか迷っている」
という段階からでもご相談いただけます。
相続人の状況や相続財産の内容、ご希望する手続きを確認したうえで、必要となる業務と費用をご案内します。
初回相談は無料です。
ご自宅などへの出張相談にも対応しています。
相続手続きでお困りの場合には、お気軽にご相談ください。
松岡司法書士事務所
