相続登記を何年も放置していたら?今からでも手続きできる?
父が亡くなってから、もう15年。
実家には母が住み続けているし、特に困ることもなかったので、相続登記はそのままにしていた。
ところが、最近になって耳にした話。
「相続登記って、義務になったんでしょ?」
「何年も放置していたら罰金がかかるって本当?」
「えっ! うちはまだ父の名義のままだけど、大丈夫なの?」
そんな心配をされている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、2024年4月1日から相続登記が義務化され、何十年も前の相続も対象になっています。
でも、ご安心ください。
長年相続登記をしていなかったからといって、今から手続きができなくなるわけではありません。
今回は、相続登記を長期間放置していた場合の問題点と、今からできる対処方法についてご紹介します。
10年、20年前の相続でも登記できる?
はい。手続きできます。
例えば、父親が20年前に亡くなり、実家が今も父親名義のままになっている場合です。
当時の相続関係を確認し、必要な書類をそろえることで、今からでも相続登記を進めることができます。
「もう20年も経っているから無理なんじゃない?」
と思われるかもしれませんが、相続登記そのものに、一定の年月が経つと申請できなくなるという期限はありません。
ただし、時間が経つほど手続きが複雑になることがあります。
その理由を見ていきましょう。
相続登記を放置すると何が困る?
① 相続人が増えてしまうことがある
これが大きな問題の一つです。
例えば、父親が亡くなったときの相続人が、母親と子ども3人だったとします。
そのまま相続登記をしないうちに、母親も亡くなり、子どもの一人も亡くなってしまったら……。
今度は、その亡くなった方の相続人も確認しなければならない場合があります。
こうして相続が何度も発生すると、関係する人が増えていくことがあります。
最初は家族4人の話だったのに、気がつけば10人以上が関係する手続きになっていた!
そんなことも起こり得るのです。
このように、相続登記をしないうちに次の相続が発生することを「数次相続(すうじそうぞく)」といいます。
② 戸籍などの書類を集めるのが大変になる
相続登記には、亡くなった方の戸籍などが必要です。
相続が何世代にもわたっている場合には、それぞれの相続関係を確認しなければなりません。
そのため、古い戸籍や除籍、改製原戸籍などを多数集める必要が生じることがあります。
また、古い戸籍の一部がすでに保存期間の経過などによって取得できない場合には、別の資料による確認が必要になることもあります。
「昔の話だから簡単」というわけではないのです。
③ 不動産を売りたいときに困る
例えば、誰も住まなくなった実家を売却したい場合です。
登記簿が亡くなった父親の名義のままだと、原則として、まず相続登記を行う必要があります。
ところが、相続人が多かったり、連絡の取れない人がいたりすると、相続登記に時間がかかることがあります。
その結果、希望していた時期に売却できなくなる可能性もあります。
【重要】2027年3月31日が一つの期限です!
ここは特に知っておいていただきたいところです。
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った場合、原則として、そのことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
しかも、義務化される前に発生した相続も対象です。
① 2024年4月1日より前から相続による取得を知っていた場合
原則として、2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
例えば、2010年に父親が亡くなり、当時から自宅を相続したことを知っていた場合などです。
② 2024年4月1日以降に相続による取得を知った場合
原則として、そのことを知った日から3年以内となります。
相続が発生した時期や、不動産を取得したことを知った時期によって期限が異なるため、注意が必要です。
なお、遺産分割が成立した場合には、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容を反映した登記を申請する義務もあります。
期限を過ぎたら、すぐに罰金になるの?
「もう何年も放置しているから、罰金を払わないといけないの?」
そんな心配もあるでしょう。
相続登記の義務に正当な理由なく違反した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
ただし、期限を過ぎたからといって、自動的に10万円を支払うことになるわけではありません。
法務局が義務違反を把握した場合には、原則として登記申請をするよう催告する仕組みになっています。
また、相続人が非常に多く、戸籍の収集に長い時間がかかる場合など、登記を行えないことについて正当な理由が認められるケースもあります。
とはいえ、何もしないまま放置し続けることはおすすめできません。
早めに現在の状況を確認しておきましょう。
相続人が多くて話がまとまらない場合は?
「相続人が何人もいて、話し合いが進まない」
「相続登記の期限が近いのに、誰が不動産を取得するのか決まっていない」
そんな場合に利用を検討できるのが、相続人申告登記という制度です。
これは、登記簿上の所有者が亡くなったことと、自分がその相続人であることなどを法務局に申し出る制度です。
相続人の一人からでも申し出ることができ、期限内に申出をすることで、申出をした本人について、相続登記の基本的な申請義務を果たすことができます。
ただし、注意点があります。
相続人申告登記は、不動産の所有名義を正式に変更する手続きではありません。
そのため、不動産を売却する場合や、遺産分割の内容を登記に反映する場合には、別途、相続登記が必要です。
また、相続人申告登記をすれば、ほかの相続人全員の義務まで自動的に果たしたことになるわけではありません。
あくまで、すぐに通常の相続登記ができない場合に利用を検討する制度です。
昔の遺産分割協議書が残っていたら?
以前、家族で遺産分割の話し合いをしていたものの、登記だけしていなかったというケースもあります。
例えば、15年前に父親が亡くなり、
「実家は長男が相続する」
という内容で遺産分割協議書を作成していた場合です。
その協議書が現在も残っていれば、相続登記の際に利用できる場合があります。
また、昔の印鑑証明書などが残っている場合も、勝手に処分しないでください。
古い書類でも、現在の手続きに役立つことがあります。
まずは残っている書類を確認し、何が不足しているのかを整理することが大切です。
相続登記を何年も放置していたら、まず何をする?
今から相続登記を進める場合は、次の順番で確認してみましょう。
① 現在の登記簿を確認する
土地や建物が誰の名義になっているのかを調べます。
② 亡くなった方の戸籍を集める
当時の相続人を確認します。
③ その後に亡くなった相続人がいないか確認する
数次相続が発生していないかを調べます。
④ 遺言書や遺産分割協議書の有無を確認する
すでに不動産の取得者が決まっている場合と、これから話し合いが必要な場合とでは、手続きが異なります。
⑤ 必要な相続登記を進める
相続関係を整理したうえで、必要な登記を申請します。
古い相続だからといって、最初からすべての書類を自分で集める必要はありません。
何が必要なのか分からない場合には、司法書士に相談することもできます。
まとめ 相続登記を放置していても、今から手続きできます!
相続登記を10年、20年、あるいはそれ以上していなかったとしても、必要な手続きを進めることは可能です。
ただし、長期間放置している間に相続人が増えたり、書類の収集が複雑になったりする場合があります。
また、相続登記の義務化によって、昔の相続についても期限が設けられています。
「父が亡くなってから何年も登記をしていない」
「祖父名義の土地がそのまま残っている」
「相続人が何人いるのか分からない」
「2027年3月31日の期限が気になる」
そんな場合は、まず現在の登記内容と相続関係を確認するところから始めましょう。
長年そのままになっていたからといって、あきらめる必要はありません。
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