2026年10月21日水曜日

登記のこんなときどうする?⑨ 亡くなった親の名義のままの実家を売りたいときは?

 


亡くなった親の名義のままの実家を売りたいときは?

親が亡くなって、誰も住まなくなった実家。

しばらくはそのままにしていたけれど、固定資産税や建物の管理も気になるし、そろそろ売却しようか……。

そこで不動産会社に相談したところ、

「まず、相続登記をしてください」

と言われた。

「えっ? 親の名義のままでは売れないの?」

「売却するんだから、直接買主さんの名義にすればいいんじゃない?」

そんな疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

実は、亡くなった親の名義のままになっている不動産を売却するには、原則として、まず相続登記が必要になります。

今回は、相続登記をしていない実家を売却する場合の手続きについて、分かりやすくご紹介します。


親の名義のままでも実家は売れる?

結論からいうと、亡くなった親の名義のままになっている実家でも、必要な手続きをすれば売却できます。

ただし、亡くなった親から買主へ、直接名義変更することは原則としてできません。

通常は、

① 亡くなった親から相続人へ相続登記をする

↓

② 相続人から買主へ売買による所有権移転登記をする

という順番で手続きを進めます。

つまり、いったん相続人の名義に変更してから、買主へ名義を移すことになります。

なお、相続登記が終わっていなくても、不動産会社に売却の相談をしたり、査定を依頼したりすることはできます。

ただし、実際に売却を進める際には、相続関係や登記手続きの準備を早めに整えておくことが大切です。


相続人が何人もいたら、誰が売るの?

例えば、父親が亡くなり、相続人が母親と子ども2人だった場合。

実家が父親一人の名義になっていたとします。

この場合、遺言書などがなければ、相続人の間で誰が実家を相続するのかを決める必要があります。

代表的な方法としては、次のようなものがあります。

① 相続人の一人が実家を相続して売却する

遺産分割協議によって、例えば長男が実家を相続することにした場合です。

まず、長男の名義に相続登記を行い、その後、長男が売主となって実家を売却します。

ただし、売却代金をほかの相続人にも分配する予定がある場合には、遺産分割の内容や税金について注意が必要です。

② 相続人の共有名義にして売却する

実家を相続人の共有名義にしたうえで、売却する方法もあります。

この場合、通常は共有者全員が売主となります。

例えば、母親と子ども2人の共有名義になった場合、実家全体を売却するには原則として共有者全員の同意が必要です。

相続人の一人が、ほかの共有者に無断で実家全体を売却することはできません。

どの方法が適切かは、相続人の意向や売却代金の分配方法などによって変わります。


遺産分割協議が終わっていなくても売れる?

ここも気になるところですね。

「相続人はみんな実家を売ることに賛成しているんだけど、遺産分割協議書は作っていない」

そんな場合もあるでしょう。

ただし、売却に賛成していることと、不動産を誰が相続するのかが決まっていることは、必ずしも同じではありません。

売却を進めるためには、相続関係を確認し、誰が売主になるのかを整理する必要があります。

遺言書の有無や相続人の状況によって、必要な登記も異なります。

そのため、売却することだけを先に決めるのではなく、相続登記の方法についても確認しておくことが大切です。


相続登記に必要な書類は?

一般的には、次のような書類が必要になります。

  • 亡くなった親の出生から死亡までの戸籍謄本など

  • 相続人の戸籍謄本

  • 相続人の住民票

  • 遺産分割協議書と印鑑証明書(必要な場合)

  • 固定資産評価額を確認できる書類

  • 遺言書がある場合には、その遺言書

実際に必要な書類は、相続関係や登記の内容によって異なります。

また、相続登記を何年もしていない場合には、その間に別の相続人が亡くなっていることもあります。

そのような場合は、さらに相続関係を調べなければならないことがあります。

実家を売却することが決まっているなら、できるだけ早めに準備を進めておきましょう。


相続登記をしないまま何年も経っていたら?

「父が亡くなったのは10年以上前」

「実家はずっと父の名義のまま」

そんなケースでも、必要な手続きを踏めば、相続登記をして売却することは可能です。

ただし、2024年4月1日から相続登記は義務化されています。

相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。

また、2024年4月1日より前に相続による取得を知っていた不動産については、原則として2027年3月31日までが期限となります。

売却する予定があるかどうかにかかわらず、相続登記の義務について確認しておきましょう。


実家を売却するときに、ほかにも注意することは?

相続登記以外にも、実家の売却では確認しておきたいことがあります。

例えば、

  • 建物が古く、修繕や解体が必要ではないか

  • 土地の境界がはっきりしているか

  • 建物が登記されているか

  • 住宅ローンや抵当権が残っていないか

  • 家財道具や荷物が残っていないか

といった点です。

また、建物が長年使われていなかった場合には、売却前に建物の状態を確認する必要もあります。

これらは不動産会社や土地家屋調査士などと連携して進めることになる場合もあります。


相続した実家を売却すると税金はどうなる?

実家を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税などがかかることがあります。

ただし、相続した空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすことで、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

いわゆる**「相続空き家の3,000万円特別控除」**です。

ただし、すべての空き家が対象になるわけではありません。

建物の建築時期、相続後の利用状況、売却時期など、細かな条件があります。

また、2024年1月1日以後の売却で、対象となる不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、控除額の上限が一人あたり2,000万円となります。

特例の適用を受けるためには、確定申告も必要です。

売却を考えている場合は、事前に税理士や税務署に確認しておくことをおすすめします。

▶ 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」


まずは何から始めればいい?

亡くなった親名義の実家を売却したい場合には、次の順番で確認してみましょう。

① 現在の登記簿を確認する

土地と建物が誰の名義になっているのかを確認します。

② 相続人を確認する

戸籍などを集めて、相続関係を整理します。

③ 実家を誰が相続するのか決める

遺言書の有無を確認し、必要に応じて遺産分割協議を行います。

④ 相続登記を進める

相続による名義変更を行います。

⑤ 不動産会社などと売却の手続きを進める

売却の査定や相談は相続登記前からでも可能ですが、買主への名義変更に支障がないよう、登記手続きの準備を整えておきます。

このように、順番を整理して進めることで、売却の際に慌てずに済みます。


まとめ 親名義の実家を売るなら、まず相続登記の確認から!

亡くなった親の名義のままになっている実家。

「もう誰も住まないから売却したい」

「相続登記をしていなかったけれど、今からでも売れる?」

そんな場合でも、必要な手続きを進めれば売却することは可能です。

ただし、相続人が複数いる場合には、誰が不動産を相続するのか、誰が売主となるのかなどを整理する必要があります。

また、相続登記の義務化や、売却に伴う税金についても確認しておきたいところです。

実家の売却を考え始めたら、まずは現在の登記内容と相続関係を確認してみましょう。


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