2026年10月25日日曜日

会社の登記こんなときどうする?① 株式会社と合同会社、設立登記はどう違う?

 


株式会社と合同会社、設立登記はどう違う?

「そろそろ個人事業から会社にしようかな」

「会社を設立したいけれど、株式会社と合同会社のどちらがいいんだろう?」

会社を設立しようと考えたとき、最初に迷うことの一つが会社の種類です。

以前は会社設立といえば株式会社が一般的でしたが、最近では合同会社という選択肢もあります。

どちらも法人であることに変わりはありませんが、設立の手続きや費用、会社の運営方法には違いがあります。

今回は、株式会社と合同会社の設立登記についてご紹介します。


株式会社と合同会社は何が違う?

まず、両者の基本的な違いを整理してみましょう。

比較項目株式会社合同会社
出資者         株主            社員
経営する人取締役など原則として社員
代表者代表取締役など代表社員
定款の認証必要不要
設立登記の登録免許税最低15万円最低6万円
利益配分原則として持株数に応じる定款で柔軟に定められる
株式の発行できるできない


ここで少し分かりにくいのが、合同会社の「社員」という言葉です。

一般的には会社で働く従業員を指しますが、会社法上の社員は出資者のことです。

合同会社では、原則として出資者自身が会社の経営にも関わります。

一方、株式会社では、株主と経営を行う取締役を分けることができます。


① 設立費用は合同会社の方が安い

会社を設立するときには、法務局で設立登記を行います。

その際に必要になるのが「登録免許税」です。

株式会社の場合、登録免許税は資本金の額の0.7%で、最低15万円。

合同会社の場合も資本金の額の0.7%ですが、最低額は6万円です。

例えば、資本金100万円の会社を設立する場合、通常の登録免許税は次のとおりです。

  • 株式会社:15万円

  • 合同会社:6万円

この時点で9万円の差があります。

さらに、株式会社では原則として公証人による定款の認証が必要です。

認証手数料は資本金などの条件によって異なり、通常は3万円から5万円です。

一方、合同会社では定款の認証が不要なので、その分の費用も抑えられます。

なお、紙の定款を作成する場合には、原則として4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款では不要になります。

※登録免許税には、一定の要件を満たす創業者向けの軽減措置が適用される場合があります。


② 会社を作るまでの流れも違う?

基本的な流れは似ています。

株式会社の場合

  1. 商号・本店所在地・事業目的などを決める

  2. 定款を作成する

  3. 公証人による定款認証を受ける

  4. 資本金となる金銭を払い込む

  5. 取締役などの設立時役員を決める

  6. 法務局に設立登記を申請する

合同会社の場合

  1. 商号・本店所在地・事業目的などを決める

  2. 定款を作成する

  3. 出資金を払い込む

  4. 代表社員など必要な事項を決める

  5. 法務局に設立登記を申請する

合同会社では定款認証の手続きがないため、株式会社よりも比較的簡単に設立できる場合があります。

ただし、合同会社でも定款の作成は必要です。

「公証人の認証が不要」というだけで、定款そのものが不要になるわけではありません。


③ 一人でも会社を設立できる?

株式会社も合同会社も、一人で設立することができます。

例えば、個人で事業をしていた方が、自分一人で出資して会社を作ることも可能です。

また、法律上は資本金1円でも設立できます。

ただし、会社を設立すれば運転資金や設備費用なども必要になります。

資本金の額は、事業の規模や今後の経営を考えて決めたいところですね。

なお、事業によっては許認可の取得に一定の資本金などが必要になる場合もあります。


④ 会社を設立した後の運営にも違いがある

株式会社と合同会社では、設立後の手続きにも違いがあります。

例えば、株式会社の取締役には任期があります。

同じ人が引き続き取締役を務める場合でも、任期満了による再任の登記が必要です。

一方、合同会社の業務執行社員には、株式会社の取締役のような法律上の一律の任期はありません。

そのため、役員の任期管理という点では、合同会社の方が負担を抑えられる場合があります。

また、株式会社では原則として毎事業年度の決算公告が必要ですが、合同会社には同様の決算公告義務がありません。

会社を作るときの費用だけでなく、設立後の維持管理についても考えておきたいですね。


⑤ 結局、どちらを選べばいいの?

これは、どちらが一方的に優れているという話ではありません。

例えば、将来的に外部の投資家から出資を受けたい場合や、株式の発行を活用した事業展開を考えている場合には、株式会社が適していることがあります。

一方、少人数で事業を運営し、設立費用や運営上の手続きをできるだけ抑えたい場合には、合同会社が選択肢になります。

ただし、取引先との関係や許認可、出資者同士の取り決めなども考慮する必要があります。

また、合同会社から株式会社へ組織変更することも可能ですが、別途手続きや費用が必要になります。

最初から事業の将来像を考えて選ぶことが大切です。


⑥ 会社の設立登記は自分でもできる?

株式会社も合同会社も、ご自身で設立登記を申請できます。

法務局のホームページには、申請書の様式や記載例が公開されています。

ただし、定款に記載する事業目的や役員構成、出資者の権利関係などは、会社設立後の運営にも影響するため、慎重に決める必要があります。

また、会社の設立登記は、法務局に申請するだけでなく、その前提となる会社法上の手続きを適切に行うことが重要です。

こうした設立手続きや登記申請書類の作成、法務局への登記申請は、司法書士が取り扱う業務です。


まとめ

株式会社と合同会社は、どちらも法人ですが、設立費用や会社の運営方法には違いがあります。

特に押さえておきたいのは、

  • 株式会社は定款認証が必要、合同会社は不要

  • 設立登記の登録免許税は合同会社の方が低い

  • 株式会社には取締役の任期や決算公告の制度がある

  • 合同会社は少人数で柔軟に経営しやすい

  • どちらも一人で設立できる

という点です。

会社設立は、事業を始めるための大切な第一歩です。

費用だけで判断せず、どのように事業を運営していきたいのかを考えて会社の種類を選びたいですね。

設立手続きについては、法務省や法務局のホームページでも確認できます。

▶ 株式会社の設立手続きについて(法務省)

▶ 合同会社の設立手続きについて(法務省)