親が亡くなったけれど、財産は数万円だけ。何か手続きは必要?
「父が亡くなったけれど、銀行預金は3万円しかなかった。相続手続きは必要なの?」
「不動産もなく、財産はほとんどない。それでも戸籍を集めたり、遺産分割協議をしたりしなければならないの?」
「相続する財産より手続きの費用の方が高くなりそう。何もしなくてもいい?」
親が亡くなった場合、相続手続きが必要になることがあります。
しかし、すべての家庭に不動産やまとまった預貯金があるわけではありません。
年金収入で生活していた親が亡くなり、残された預貯金は数万円だけという場合もあります。
また、不動産を所有せず、賃貸住宅で生活していた方もいます。
このような場合、財産が少ないからといって、必ずしもすべての手続きが不要になるわけではありません。
一方、相続財産が少額であれば、複雑な手続きや多額の費用をかける必要がない場合もあります。
今回は、親が亡くなったものの、財産が数万円しかない場合に、どのような手続きが必要になるのか、何を確認すればよいのか、費用をかけずに進める方法はあるのかについて説明します。
① 父が亡くなった。残された財産は3万円だけ
例えば、次のような家庭を考えてみましょう。
父:78歳。芦屋市内で一人暮らし
長男:52歳。西宮市在住
長女:49歳。神戸市在住
母:すでに死亡
父は賃貸住宅で生活しており、収入は主に年金でした。
長男と長女は時々父の様子を見に行っていましたが、父の財産について詳しく知っていたわけではありません。
ある日、父が亡くなりました。
葬儀を終えた後、長男と長女が父の部屋を整理すると、銀行の通帳が見つかりました。
通帳の残高は約3万円でした。
財布の中に現金が少しありましたが、ほかにまとまった財産は見当たりません。
不動産も所有していません。
長男は長女に尋ねました。
「財産が3万円しかないのに、相続手続きなんて必要なのかな?」
長女も、どうすればよいのか分かりません。
「相続手続きを専門家に頼んだら、3万円より費用が高くなってしまうんじゃない?」
このような場合、まず何を確認すればよいのでしょうか。
② 財産が少なくても、相続は発生する?
相続は、亡くなった方が多額の財産を所有している場合だけに発生するものではありません。
民法第882条では、相続は死亡によって開始すると定められています。
したがって、亡くなった方の預貯金が3万円しかなかったとしても、相続は発生します。
また、相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれます。
例えば、父が亡くなった時点で、
銀行預金:3万円
現金:5,000円
不動産:なし
借金:不明
という状態だった場合です。
この場合、プラスの財産は3万5,000円ですが、借金などが残っている可能性もあります。
そのため、財産が少ないからといって、何も確認せずに手続きを終わらせてよいとは限りません。
ただし、相続が発生することと、必ず家庭裁判所や法務局で何らかの手続きをしなければならないことは別の問題です。
財産の種類や債務の有無によって、必要な手続きは異なります。
③ まず、死亡後の公的な手続きを確認する
親が亡くなった場合、相続財産の金額にかかわらず、必要となる公的な届出があります。
代表的なのが死亡届です。
死亡届は、原則として死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場へ提出する必要があります。
ただし、葬儀社が届出を代行することも多く、火葬がすでに終わっている場合には、通常は死亡届の提出も済んでいます。
また、亡くなった方の状況によって、次のような手続きが必要になることがあります。
国民健康保険や後期高齢者医療制度に関する手続き
介護保険に関する手続き
年金に関する手続き
市区町村税に関する手続き
各種給付金や還付金の申請
これらは、相続財産が多いか少ないかとは別に確認する必要があります。
例えば、芦屋市では、家族が亡くなった場合の手続きについて「おくやみハンドブック」を公開しています。
そのため、何から始めればよいか分からない場合には、まず亡くなった方の住所地の市区町村役場で、必要な手続きを確認する方法があります。
④ 本当に財産が3万円しかないのか確認する
今回のケースで、特に重要なのが財産の確認です。
長男と長女は、父の通帳の残高が3万円だったため、相続財産も3万円しかないと思っています。
しかし、通帳に記載された金額だけで、すべての相続財産を確認できたとは限りません。
例えば、次のような財産が残されている可能性があります。
別の銀行の預貯金
ゆうちょ銀行の貯金
自宅に保管されている現金
株式や投資信託
他人に貸しているお金
保険契約に関する返戻金
賃貸住宅の敷金返還請求権
各種料金の過払いによる返金請求権
また、生命保険金については、受取人の指定内容によって、相続財産とは別に受け取れる場合があります。
例えば、父が長男を死亡保険金の受取人に指定していた場合です。
このような場合、死亡保険金は原則として長男自身の権利として受け取ることになります。
そのため、銀行預金が3万円しかなくても、ほかに受け取れるお金がある可能性があります。
ただし、財産の調査に多額の費用をかければよいというわけではありません。
まずは、通帳、郵便物、保険証券、契約書など、手元にある資料から確認するとよいでしょう。
「財産が少ない」と判断する前に、確認できる範囲で財産の全体を把握しておくことが大切です。
⑤ 銀行預金が3万円だけでも、解約手続きは必要?
例えば、父名義の銀行口座に3万円が残っている場合です。
この預金を相続人が受け取るためには、原則として金融機関で相続手続きを行う必要があります。
金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、通常、その口座について出金などの取扱いが停止されます。
そのため、長男が父のキャッシュカードと暗証番号を知っていたとしても、亡くなった父の預金を自由に引き出してよいわけではありません。
銀行に連絡し、必要な相続手続きを確認することになります。
ここで問題になるのが、預金額と手続きの負担です。
例えば、預金残高が3万円しかない場合でも、金融機関から戸籍謄本などの提出を求められることがあります。
ただし、必要書類や手続きの方法は金融機関によって異なります。
少額の預金について、通常とは異なる取扱いを設けている金融機関もあります。
そのため、最初から大量の戸籍謄本などを取得するのではなく、まず銀行に問い合わせてみることをおすすめします。
確認したいのは、次のような事項です。
預金残高が少額である場合の取扱い
必要な戸籍謄本などの範囲
遺産分割協議書が必要か
相続人のうち一人が代表して手続きできるか
郵送による手続きが可能か
銀行によっては、相続人の状況などに応じた手続き方法を案内してくれる場合があります。
預金が少額の場合には、書類を取得する前に金融機関へ必要な手続きを確認しておくことが重要です。
⑥ 3万円を分けるために、遺産分割協議書を作らないといけない?
例えば、今回の父の相続人が長男と長女の二人だけだった場合です。
銀行預金3万円を、二人で分けることになりました。
この場合、必ず正式な遺産分割協議書を作成しなければならないのでしょうか。
遺産分割協議は、相続人全員で遺産をどのように分けるかを決めるものです。
しかし、遺産分割協議について、すべての場合に書面の作成が法律上義務付けられているわけではありません。
例えば、長男と長女の間で、預金3万円を長男が取得することに合意した場合です。
このような合意自体は、必ずしも複雑な書面を作成しなければ成立しないものではありません。
ただし、実際に銀行預金を払い戻す場合には、金融機関が必要な書類を定めています。
銀行所定の相続届などに、相続人全員の署名や押印を求められる場合もあります。
また、相続人間で後から問題が生じないように、少額であっても誰がいくら取得するのかを記録しておくことは有用です。
法律上、遺産分割協議書を必ず作成しなければならない場合と、金融機関の手続き上、書類の提出が必要になる場合は区別して考える必要があります。
⑦ 財産が少ない場合、相続登記は必要ない?
今回の父は賃貸住宅で生活しており、自分名義の土地や建物を所有していませんでした。
このような場合、父の所有する不動産について相続登記を行う必要はありません。
相続登記は、不動産の所有者が亡くなり、相続によって不動産を取得した場合などに行う手続きだからです。
2024年4月1日から相続登記が義務化されましたが、亡くなった方が不動産を所有していない場合にまで、相続登記が必要になるわけではありません。
ただし、自宅を所有していなかったからといって、不動産を一切所有していないとは限りません。
例えば、地方にある土地を相続していたものの、長年そのままになっている場合もあります。
そのため、固定資産税の通知書や過去の相続関係資料などが残っていないか確認しておくとよいでしょう。
もし父名義の不動産が見つかった場合には、相続登記の義務が問題になります。
一方、調査した結果、不動産がないと確認できたのであれば、相続登記の手続きを行う必要はありません。
⑧ 財産は3万円。でも借金があったらどうなる?
今回のケースで、最も注意したいのが借金などの債務です。
例えば、父の銀行預金は3万円しかありませんでした。
ところが、亡くなった後に、消費者金融から借入金の返済を求める通知が届いたとします。
借金の残高は50万円でした。
この場合、預金が3万円しかないからといって、借金の返済義務も3万円までに限定されるわけではありません。
相続では、原則として、亡くなった方のプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになるからです。
そのため、借金の存在が分かった場合には、相続放棄などを検討する必要があります。
相続放棄とは、亡くなった方の財産と債務を引き継がないために、家庭裁判所へ申述する手続きです。
相続放棄をすると、原則として初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
ただし、借金だけを放棄して、銀行預金3万円だけを相続することはできません。
また、相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。
財産や債務の調査が終わらず、3か月以内に判断できない場合には、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法もあります。
財産が少ない場合こそ、借金などの債務が残っていないかを早めに確認することが重要です。
⑨ 借金があるか分からない場合、預金を使ってもいい?
例えば、父の銀行口座に3万円が残っていた場合です。
長男は、その3万円を葬儀費用の一部に使おうと考えています。
しかし、父に借金があるかどうかは、まだ確認できていません。
このような場合には、慎重な対応が必要です。
民法第921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、一定の例外を除き、単純承認をしたものとみなされると定められています。
単純承認をしたとみなされると、その後、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
ただし、相続財産を使った行為が、すべて一律に単純承認となるわけではありません。
具体的な行為の内容や使途、事情などによって判断が異なります。
例えば、葬儀費用に充てた場合についても、個別の事情によって判断される問題です。
そのため、借金の有無が分からず、相続放棄を検討する可能性がある場合には、亡くなった方の預貯金や現金を安易に使用しない方が安全です。
また、親のキャッシュカードを使って預金を引き出すことも、慎重に考える必要があります。
相続放棄を検討する可能性がある場合には、財産を処分する前に対応方法を確認しておくことが大切です。
⑩ 未払いの病院代や公共料金も確認する
借金というと、銀行や消費者金融からの借入れを思い浮かべるかもしれません。
しかし、相続で問題になる債務は、それだけではありません。
例えば、次のようなものです。
入院費や医療費の未払金
介護施設の利用料
家賃の未払金
電気・ガス・水道料金
携帯電話の利用料金
クレジットカードの利用代金
税金などの未納分
これらについても、契約内容や法律関係によっては、相続人が承継する債務となる場合があります。
ただし、すべての請求について、子どもが当然に支払義務を負うわけではありません。
例えば、子ども自身が連帯保証人になっている場合には、相続とは別に保証人としての責任が問題になることがあります。
一方、単に親子であるというだけで、子どもが当然に親のあらゆる債務を負うわけではありません。
請求が届いた場合には、何の契約に基づく請求なのか、誰が契約者なのか、相続によって承継する債務なのかを確認する必要があります。
また、相続放棄を検討している場合には、請求されたからといって、すぐに支払う前に対応方法を確認することが大切です。
⑪ 葬儀費用の方が高かった場合、どうなる?
例えば、父が亡くなり、長男が葬儀費用として30万円を支払った場合です。
一方、父の預貯金は3万円しかありません。
このような場合、長男が支払った葬儀費用は、ほかの相続人である長女と当然に折半することになるのでしょうか。
実は、葬儀費用の負担については、相続人が必ず法定相続分に応じて負担しなければならないと一律に決まっているわけではありません。
例えば、誰が葬儀を依頼したのか、どのような合意があったのかなどによって、負担関係が問題になります。
また、葬儀費用と、亡くなった方が生前に負っていた債務は区別する必要があります。
そのため、長男が葬儀費用30万円を支払ったからといって、当然に長女へ15万円を請求できるとは限りません。
一方、家族であらかじめ費用を分担することに合意していた場合などには、その合意内容が問題になります。
また、健康保険制度によっては、葬儀を行った方に葬祭費などが支給される場合があります。
葬儀費用については、相続財産の額とは別に、誰が費用を負担するのか、利用できる給付制度があるのかを確認することが大切です。
⑫ 葬祭費など、受け取れるお金はない?
父の預貯金が3万円しかなかったとしても、死亡後の手続きによって受け取れるお金がある場合があります。
例えば、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなり、葬儀を行った場合です。
一定の要件を満たすと、葬儀を行った方に葬祭費が支給される制度があります。
例えば、芦屋市の国民健康保険では、葬儀を行った方に葬祭費として5万円が支給されます。
また、兵庫県の後期高齢者医療制度でも、葬祭費として5万円が支給される仕組みがあります。
ただし、加入していた健康保険や支給条件によって取扱いが異なります。
また、ほかの健康保険から埋葬料などを受け取れる場合には、重複して支給されないことがあります。
そのため、亡くなった方がどの健康保険に加入していたかを確認する必要があります。
葬祭費は自動的に振り込まれるとは限らず、申請が必要です。
例えば、芦屋市の国民健康保険の葬祭費については、葬儀を行った日の翌日から2年以内に申請する必要があります。
財産が少ない家庭でも、利用できる給付制度がないかを確認しておくとよいでしょう。
⑬ 未支給年金が受け取れる場合もある
亡くなった父が年金を受け取っていた場合には、未支給年金についても確認する必要があります。
年金は、亡くなった月分まで支給の対象となります。
そのため、死亡時点でまだ支払われていない年金がある場合には、一定の遺族が未支給年金を請求できることがあります。
例えば、父が亡くなった後に、死亡した月までの年金について未支給分が生じている場合です。
ただし、未支給年金を請求できる方には条件があります。
亡くなった方と生計を同じくしていた一定の範囲の遺族が対象となり、請求できる順位も定められています。
単に子どもであるというだけで、必ず受け取れるわけではありません。
また、未支給年金は、原則として通常の相続財産とは区別され、請求権者自身の権利として受け取るものです。
そのため、預貯金が3万円しかなかった場合でも、未支給年金の請求ができるかどうかを確認する意味があります。
なお、死亡後に振り込まれた年金については、その全額を自由に使用できるとは限りません。
過払いとなった年金については返還が必要になる場合もあるため、日本年金機構などに確認する必要があります。
⑭ 財産が3万円なら、相続税の申告は必要ない?
相続が発生すると、相続税の申告が必要になるのではないかと心配する方もいます。
しかし、相続税は、財産を相続した人すべてに課税されるわけではありません。
相続税には基礎控除があります。
基礎控除額は、原則として次の計算式によって求めます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、今回の父の相続人が長男と長女の二人だけだった場合です。
基礎控除額は、
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
となります。
そのため、相続税の計算上、課税価格が基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告は必要ありません。
今回のように、ほかに財産や課税対象となるものがなく、預貯金と現金が数万円だけという場合には、通常、相続税の申告は必要ありません。
ただし、銀行預金の残高だけで判断してよいわけではありません。
例えば、死亡保険金や生前贈与など、相続税の計算に関係するものがある場合には、別途確認が必要になることがあります。
相続税の申告が必要かどうかは、預金額だけではなく、相続税の計算対象となる財産全体を確認して判断する必要があります。
⑮ 所得税の申告も必要になる?
相続税とは別に、亡くなった方の所得税について確認が必要になる場合があります。
例えば、父が年金以外に事業収入や不動産収入を得ていた場合です。
このような場合には、亡くなった年の所得について、準確定申告が必要になることがあります。
準確定申告とは、亡くなった方に確定申告義務がある場合などに、相続人が亡くなった方に代わって行う所得税の申告です。
原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。
ただし、亡くなった方が全員、準確定申告をしなければならないわけではありません。
例えば、収入が公的年金だけであり、確定申告が不要となる要件を満たしている場合には、原則として申告は必要ありません。
もっとも、所得税の還付を受けられる場合もあるため、申告の要否については個別の確認が必要です。
財産が少ないことと、準確定申告が必要かどうかは別の問題です。
⑯ 専門家に依頼しないといけない?
今回のように、父が不動産を所有しておらず、預貯金も数万円しかない場合です。
このような場合でも、必ず司法書士などの専門家に依頼する必要があるのでしょうか。
結論として、すべての相続手続きを専門家に依頼する必要があるわけではありません。
例えば、
相続人が明確になっている
不動産がない
預貯金が少額である
借金などの債務に問題がない
相続人同士で争いがない
といった場合には、家族だけで手続きを進められることもあります。
金融機関での預貯金の相続手続きも、必ず専門家に依頼しなければならないものではありません。
また、市区町村役場で行う死亡後の手続きについても、必要書類を確認して自分で申請できるものがあります。
一方、相続放棄が必要な場合や、相続人の範囲が分からない場合などには、専門家への相談を検討する意味があります。
例えば、預貯金は3万円しかないものの、多額の借金があることが分かった場合です。
このような場合には、相続財産が少額であっても、相続放棄などの対応が重要になります。
財産が少ない場合には、すべてを専門家に任せるのではなく、自分でできる手続きと専門家への相談が必要な部分を区別することが大切です。
⑰ では、今回のケースではどう進める?
最初の事例に戻ってみましょう。
78歳の父が亡くなり、長男と長女が相続人になりました。
父は賃貸住宅で生活しており、不動産は所有していません。
確認できた財産は、銀行預金3万円と少額の現金です。
このような場合、次のような順番で進めることが考えられます。
1.死亡後の公的な手続きを確認する
市区町村役場で、健康保険、介護保険、年金などに関する必要な手続きを確認します。
2.父の財産を確認する
通帳や郵便物、契約書などから、ほかに預貯金や財産がないかを確認します。
3.借金や未払金がないかを確認する
借入金、医療費、公共料金、税金などの未払金がないかを確認します。
4.相続放棄を検討する必要があるか判断する
債務の存在が疑われる場合には、3か月の期間に注意しながら対応を検討します。
5.銀行に相続手続きの方法を確認する
少額の預金について、どのような書類が必要になるのか金融機関に問い合わせます。
6.相続人同士で預金の分け方を確認する
長男と長女で話し合い、預金をどのように取得するのかを確認します。
7.受け取れる給付金などがないか確認する
葬祭費や未支給年金など、利用できる制度がないか確認します。
8.必要な手続きを終える
銀行預金の相続手続きや、各種契約の終了に関する手続きなどを進めます。
今回のケースでは、ほかに財産や債務がなく、相続人間にも問題がなければ、複雑な相続手続きが必要にならない可能性があります。
ただし、借金などが見つかった場合には、対応方法が大きく変わることがあります。
そのため、まず財産と債務の両方を確認することが重要です。
まとめ
親が亡くなったものの、財産が数万円しかない場合でも、相続は発生します。
しかし、財産が少ないからといって、必ず複雑な相続手続きを行わなければならないわけではありません。
今回のポイントを整理すると、
財産が数万円しかなくても、相続は発生する
死亡後の公的な届出は、相続財産の額とは別に確認する必要がある
通帳の残高だけで、相続財産のすべてを判断しない
少額の預貯金でも、払い戻すためには金融機関の相続手続きが必要になる
必要書類は金融機関によって異なるため、取得前に確認する
遺産分割協議書は、すべての相続で作成が法律上義務付けられているわけではない
亡くなった方が不動産を所有していなければ、その方の相続登記は必要ない
預貯金が少額でも、借金などの債務が残っている場合がある
相続放棄を検討する場合には、原則として3か月の期間に注意する
相続放棄を検討している場合には、亡くなった方の財産を安易に処分しない
葬儀費用の負担と相続債務の問題は区別して考える
葬祭費や未支給年金などを受け取れる場合がある
財産が少額であれば、通常、相続税の申告が不要になる場合が多い
所得税の準確定申告については、亡くなった方の収入状況によって判断する
相続人や財産の状況によっては、専門家に依頼せず家族だけで手続きを進められる
ということになります。
相続というと、多額の預貯金や不動産を持っている家庭の問題だと思われるかもしれません。
しかし、財産が少ない家庭にも、死亡後の手続きや借金の確認など、考えなければならないことがあります。
一方、財産が少ないからこそ、必要以上に費用や時間をかけずに手続きを進めることも大切です。
例えば、銀行預金が3万円しかない場合に、何も確認せずに高額な費用をかけて複雑な書類を作成する必要はありません。
まずは金融機関に必要な手続きを確認し、自分たちで対応できるかどうかを検討するとよいでしょう。
ただし、借金がある場合や、相続人の範囲が分からない場合には、財産が少額であっても慎重な対応が必要になります。
相続財産が少ない場合に大切なのは、何もしないことではなく、本当に必要な手続きを見極め、費用と負担を考えながら進めることです。
参考資料
