2026年10月26日月曜日

相続手続きに役立つ制度③ 亡くなった親の不動産をまとめて調べられる?所有不動産記録証明制度とは

  


亡くなった親の不動産をまとめて調べられる?所有不動産記録証明制度とは

親が亡くなり、相続手続きを始めることになった。

預貯金は通帳などから確認できても、不動産となると少し事情が違います。

「実家以外にも土地を持っていたような気がする」

「田舎に山林があると聞いたことがあるけれど、場所が分からない」

「固定資産税の通知書に載っている不動産だけで全部なのかな?」

そんな場合に役立つ制度が、2026年2月2日から始まりました。

それが「所有不動産記録証明制度」です。

今回は、この新しい制度についてご紹介します。


所有不動産記録証明制度って何?

これまでは、亡くなった方が全国のどこに不動産を所有していたのかを、法務局でまとめて調べることはできませんでした。

不動産の登記記録は、土地や建物ごとに管理されているからです。

そのため、固定資産税の納税通知書や権利証、自治体の名寄帳などを手掛かりに調べる必要がありました。

そこで新たに導入されたのが、所有不動産記録証明制度です。

法務局が、請求された氏名・住所などの情報をもとに全国の登記記録を検索し、該当する不動産を一覧にして証明してくれます。

つまり、亡くなった親が登記簿上の所有者になっている不動産を、全国を対象に調べられるというわけです。


全国どこの法務局でも請求できる?

はい。全国の法務局で請求できます。

例えば、亡くなったお父さんが芦屋市に住んでいたとしても、所有していた不動産が兵庫県内にあるとは限りません。

昔住んでいた大阪府の土地や、遠方の実家、相続した山林などが残っている可能性もあります。

この制度では、そうした全国の不動産を対象に検索できます。

請求方法も、窓口での書面請求、郵送請求、オンライン請求が用意されています。


誰でも請求できるの?

誰でも自由に他人の不動産を調べられるわけではありません。

請求できるのは、主に次の方です。

  • 不動産の所有権の登記名義人本人

  • その相続人などの一般承継人

  • これらの方から委任を受けた代理人

つまり、相続人であれば、亡くなった親の所有不動産について請求することができます。

また、相続が発生する前に、ご自身の所有不動産を整理する目的で利用することもできます。


手数料はいくらかかる?

所有不動産記録証明書の交付には、次の手数料がかかります。

検索条件1件・証明書1通当たり

請求方法手数料
書面請求         1,600円
オンライン請求・郵送交付1,500円
オンライン請求・窓口交付1,470円

ここで注意したいのが、検索条件ごとに手数料がかかることです。

例えば、昔住んでいた住所も含めて4つの検索条件で調べる場合、書面請求で各1通なら、

1,600円 × 4件 = 6,400円

となります。

また、該当する不動産が見つからなかった場合でも、手数料は返還されません。


注意!すべての不動産が見つかるとは限りません

この制度で一番注意したいのが、ここです。

全国の不動産を検索できるからといって、必ずすべての不動産が見つかるわけではありません。

例えば、お父さんが30年前に土地を購入し、その後何度も引っ越しをしていたとします。

しかし、その土地の登記簿に記載されている住所は、購入当時のまま。

この場合、現在の住所だけを条件に検索すると、その土地が見つからない可能性があります。

そのため、過去の住所も確認して検索条件に加えることが重要です。

また、所有権の登記がされていない不動産や、登記簿がコンピュータ化されていない不動産などは、検索対象になりません。

「証明書に載っていないから、不動産はほかにない」とは言い切れないんですね。


相続登記もこれで終わるの?

いいえ。

所有不動産記録証明制度は、あくまでも所有している不動産を調べるための制度です。

この証明書を取得しただけでは、相続登記は完了しません。

不動産が見つかったら、それぞれの登記記録を確認し、必要な相続登記を行うことになります。

また、個別の不動産の権利関係を確認するためには、登記事項証明書なども必要です。


相続手続きの前に利用を検討したい制度

相続登記が義務化された現在、亡くなった方が所有していた不動産を漏れなく把握することは、以前にも増して重要になっています。

特に、長年使っていない土地や、遠方の山林などは、相続人が存在自体を知らないこともあります。

所有不動産記録証明制度は、そうした登記漏れを防ぐための新しい方法の一つです。

ただし、この制度だけですべてが分かるわけではありません。

固定資産税の資料や権利証、名寄帳なども確認しながら、必要に応じて利用することが大切ですね。


まとめ

2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度。

亡くなった方が登記簿上の所有者になっている不動産を、全国を対象に調べられる便利な制度です。

一方で、過去の住所や氏名によって検索結果が変わることや、検索できない不動産があることにも注意が必要です。

相続手続きを始める際には、こうした制度も上手に活用していきたいですね。

制度の詳しい内容や必要書類については、次のページで確認できます。

▶ 所有不動産記録証明制度について(法務省)

▶ 所有不動産記録証明制度の詳しいご案内