2026年10月26日月曜日

会社の登記こんなときどうする?③ 会社の本店を移転したら?登記の手続きと期限

 


会社の本店を移転したら?登記の手続きと期限

会社を続けていると、

「今の事務所が手狭になった」
「家賃を見直したい」
「自宅兼事務所から別の場所へ移りたい」

といった理由で、本店を移転することがあります。

実際には引っ越しをするだけのように感じるかもしれませんが、会社の場合はそれだけでは終わりません。

本店を移転したら、原則として登記が必要です。

今回は、会社の本店移転登記について、手続きの流れや期限、注意点をまとめます。


① 本店移転登記って何?

会社の「本店」は、会社の住所として登記されている場所です。

株式会社でも合同会社でも、設立のときに本店所在地を定めて登記しています。

そして、実際に会社の本店を別の場所へ移したら、その内容を登記簿にも反映させる必要があります。

つまり、本店移転登記とは、会社の住所が変わったことを法務局に届け出る手続きです。


② 会社の引っ越しをしたら、必ず登記が必要?

原則として必要です。

例えば、

  • 芦屋市内で事務所を移した

  • 西宮市へ移転した

  • 自宅兼事務所から別のテナントへ移った

といった場合でも、本店所在地が変われば登記の対象になります。

ただし、どこまでの変更を登記しているかによって、確認すべき内容が少し変わります。

商業登記では、本店所在地として通常は**「最小行政区画」まで**登記されます。
たとえば「兵庫県芦屋市」といった形です。

そのため、同じ市内で移転する場合と、別の市町村へ移転する場合では、手続きの違いが出てきます。


③ 同じ市内で移転する場合と、別の市町村へ移転する場合の違い

同じ管轄法務局の区域内で移転する場合

たとえば、芦屋市内で本店を移転するような場合です。

この場合は、通常、現在の本店を管轄する法務局に本店移転登記を申請します。

比較的シンプルな手続きで済むことが多いです。

別の管轄法務局の区域へ移転する場合

たとえば、芦屋市から神戸市中央区へ本店を移すような場合です。

この場合は、旧本店所在地を管轄する法務局と、新本店所在地を管轄する法務局の双方に関係する登記になります。

実際には、旧所在地の管轄法務局へ申請し、その申請の中で新所在地側の登記もあわせて行う形になりますが、登記上は旧所在地・新所在地の双方に手続きが発生します。

同じ「本店移転」でも、少し重みが違うわけですね。


④ 本店移転には、だれの決定が必要?

ここは会社の形や定款の記載によって変わります。

たとえば株式会社では、定款で本店を「芦屋市に置く」とだけ定めていることが多いです。

この場合、芦屋市内で移転するのであれば、定款変更は不要で、取締役会設置会社なら取締役会、取締役会非設置会社なら取締役の決定などで足りる場合があります。

一方で、芦屋市から西宮市へ移るような場合は、本店所在場所の市町村自体が変わるため、通常は定款変更が必要になります。
そのため、原則として株主総会の特別決議が必要になります。

また、合同会社でも、定款の記載や社員の決定方法によって必要な手続きが変わります。

つまり、本店移転では単に住所変更をするだけでなく、会社法上、だれが決める事項なのかを確認する必要があるんですね。


⑤ 登記はいつまでにするの?

本店移転登記には期限があります。

同一管轄内の移転

本店移転の日から2週間以内

他管轄への移転

  • 旧本店所在地では、移転の日から2週間以内

  • 新本店所在地では、移転の日から3週間以内

とされています。

「会社の引っ越しは終わったから、そのうち登記すればいい」

と思っていると、期限を過ぎてしまうことがあります。

商業登記では、期限を守らずに放置すると、代表者などが過料の対象になる可能性があります。


⑥ 必要書類は何がいる?

会社の機関設計や、移転先が同一管轄かどうかによって異なりますが、一般的には次のような書類を使います。

  • 変更登記申請書

  • 株主総会議事録

  • 取締役会議事録または取締役の決定書

  • 株主リスト

  • 委任状(代理人が申請する場合)

株式会社で、同じ市内での移転か、別の市町村への移転かによっても必要書類は変わります。

また、定款変更が必要な場合には、その内容が分かる議事録等が必要です。


⑦ 登録免許税はいくら?

本店移転登記の登録免許税は、原則として次のとおりです。

同一管轄内の移転

3万円

他管轄への移転

6万円

他管轄への移転の場合は、旧所在地と新所在地の双方に登記が生じるため、金額も上がります。

司法書士に依頼する場合には、これとは別に報酬が必要になります。


⑧ 見落としやすい注意点

1. 税務署や都道府県・市町村への届出は別

本店移転登記をしたからといって、税務署や県税事務所、市役所などへの手続きが自動で済むわけではありません。

法人の異動届など、別途必要な届出があります。

2. 許認可がある会社は特に注意

建設業や古物商など、許認可が必要な業種では、本店移転に伴って別途手続きが必要になることがあります。

3. 定款の記載内容を確認する

定款に本店所在地をどこまで具体的に書いているかによって、必要な決議が変わることがあります。

4. 会社の印鑑カードや印鑑届出も確認

移転そのものとは別ですが、代表取締役の住所変更や会社実印の取扱いなど、合わせて確認しておきたい事項が出てくることもあります。

⑨ 自分でできる?

本店移転登記は、ご自身で申請することもできます。

ただし、

  • どの機関決定が必要か

  • 定款変更が必要か

  • 旧管轄と新管轄のどちらにどう申請するか

  • 登録免許税はいくらか

など、確認するポイントが意外と多い手続きです。

特に、別の市町村へ移転する場合や、取締役会設置会社の場合には、会社法上の手続きも含めて慎重に進める必要があります。


まとめ

会社の本店を移転したときは、原則として本店移転登記が必要です。

今回のポイントを整理すると、

  • 本店所在地が変われば、原則として登記が必要

  • 同じ管轄内の移転か、他管轄への移転かで手続きが違う

  • 定款変更が必要になる場合がある

  • 登記期限は、同一管轄なら2週間、他管轄なら旧所在地2週間・新所在地3週間

  • 登録免許税は、同一管轄3万円、他管轄6万円

  • 税務署や許認可の手続きは別に必要

ということになります。

会社の引っ越しは、事務所を移すだけでは終わりません。

登記や届出まで含めて、忘れずに対応したいですね。

参考資料

▶ 法務局|商業・法人登記の申請書様式
▶ 法務省|商業・法人登記