会社をたたむことになったら?解散から清算結了まで
会社を設立したときには、事業を始めるための登記が必要でした。
では、反対に
「もう事業をやめることにした」
「法人をそのまま残しておく必要がなくなった」
「長年休眠状態の会社を整理したい」
という場合には、どんな手続きが必要になるのでしょうか。
会社をたたむといっても、単に事業をやめれば終わりというわけではありません。
株式会社を正式に終わらせるには、通常、解散と清算結了という段階を踏みます。
今回は、株式会社を中心に、会社を終了させるときの流れと登記について整理します。
① 会社をたたむ=すぐ消える、ではない
まず押さえておきたいのは、会社は「解散したらすぐなくなる」わけではないということです。
株式会社は、株主総会の決議などによって解散すると、以後は通常の営業活動を終了し、会社の財産や債務を整理する段階に入ります。
この段階を清算といいます。
つまり、一般的には次のような流れになります。
解散を決める
清算人を選ぶ
債権者保護手続をする
財産や債務を整理する
残った財産を株主に分配する
清算結了登記をする
会社を終了させるには、この一連の手続きが必要になります。
② どんなときに会社は解散する?
会社の解散原因はいくつかありますが、実務上よくあるのは株主総会の特別決議による解散です。
たとえば、
事業をやめることにした
後継者がいない
会社を使う予定がなくなった
法人を整理したい
といった場合です。
このほかにも、
定款で定めた存続期間の満了
定款で定めた解散事由の発生
合併
破産手続開始決定
休眠会社のみなし解散
などによって解散することもあります。
ただ、通常の中小企業で「会社をたたむ」という場合は、株主総会の特別決議による解散をイメージすればよいことが多いです。
③ 解散するには株主総会の特別決議が必要
株式会社が任意に解散する場合、原則として株主総会の特別決議が必要です。
また、多くの場合、解散とあわせて清算人を選任します。
会社が解散すると、取締役や代表取締役は原則としてその役割を終え、清算人が会社を代表して清算手続を進めることになります。
なお、定款に別段の定めがない限り、通常は取締役が清算人になりますが、株主総会で別の人を清算人に選ぶこともできます。
④ 解散登記と清算人選任登記が必要
株主総会で解散を決議しただけでは足りません。
会社の状態が変わったことを登記簿にも反映させる必要があります。
そのため、通常は次の登記を行います。
解散の登記
清算人の選任登記
これらは、通常、同じ申請の中でまとめて行います。
登記の期限
原則として、
解散の登記:解散の日から2週間以内
清算人の選任登記:清算人就任の日から2週間以内
に本店所在地を管轄する法務局へ申請します。
実際には、同じ株主総会で解散と清算人選任を決め、そのまま一括して申請することが多いです。
⑤ 必要書類は?
株式会社が株主総会の特別決議により解散し、清算人を選任する場合、一般的には次のような書類を準備します。
株式会社解散及び清算人選任登記申請書
株主総会議事録
株主リスト
清算人の就任承諾書
清算人の印鑑証明書(就任承諾書に実印を押印する場合など)
印鑑届書(清算人が会社実印を届け出る場合)
委任状(司法書士などに依頼する場合)
会社の機関構成や、清算人に誰が就くかによって必要書類が変わる場合があります。
⑥ 登録免許税はいくら?
株式会社の解散及び清算人選任登記の登録免許税は、一般的に次のとおりです。
解散登記:3万円
清算人選任登記:9,000円
合計すると、通常は3万9,000円になります。
司法書士に依頼する場合には、これとは別に報酬が必要です。
⑦ 解散したらすぐ会社の口座を閉じるの?
ここは誤解しやすいところです。
会社は解散しても、清算が終わるまでは、清算会社として存続します。
そのため、清算のために必要な範囲で、
債権の回収
債務の支払い
残余財産の分配
税務申告
登記手続き
などを行います。
会社の預金口座も、清算手続のために必要な間は使うことがあります。
「解散=その日で完全終了」ではなく、解散後に清算期間があることを押さえておきたいですね。
⑧ 債権者保護手続って何?
会社を終了させる以上、会社に対して債権を持っている人を無視することはできません。
そのため、清算会社は、知れている債権者には個別に催告し、さらに官報で公告をして、一定期間内に債権を申し出るよう求める必要があります。
これが債権者保護手続です。
通常、官報公告では2か月以上の期間を設けます。
この期間があるため、解散から清算結了まではある程度の時間がかかります。
⑨ 清算結了登記とは?
会社の財産関係の整理が終わり、残余財産の分配まで終わったら、清算事務は完了です。
このとき、株主総会で清算事務報告の承認を受けたうえで、清算結了登記を申請します。
これによって、会社は法的にも終了したことになります。
清算結了登記の期限
清算結了登記は、原則として清算結了の日から2週間以内に申請します。
清算結了登記の必要書類
一般的には、次のような書類を準備します。
株式会社清算結了登記申請書
株主総会議事録(清算事務報告承認)
委任状(代理申請の場合)
清算結了登記の登録免許税
清算結了登記:2,000円です。
⑩ 会社をたたむときの注意点
会社を終了させるときには、登記だけでは終わりません。
1. 税務申告が必要
解散事業年度、清算事業年度など、それぞれの段階で税務申告が必要になります。
2. 許認可や届出の整理
許認可を受けている会社では、廃業届や返納手続きが必要になることがあります。
3. 社会保険・労働保険の手続き
従業員がいる場合には、社会保険や労働保険の資格喪失手続なども必要です。
4. 契約関係の整理
事務所の賃貸借契約、リース契約、取引先との契約なども整理しなければなりません。
5. 休眠会社を放置しない
使っていない会社をそのまま放置していると、みなし解散や、税務・登記の問題が生じることがあります。
「そのうち整理しよう」と思いながら長年放置している会社こそ、早めに方針を決めたいところです。
まとめ
会社をたたむ場合には、単に営業をやめるだけではなく、正式な手続きが必要です。
今回のポイントを整理すると、
会社を終了させるには、通常、解散 → 清算 → 清算結了という流れをたどる
任意の解散には、原則として株主総会の特別決議が必要
解散登記と清算人選任登記は、原則として2週間以内
解散登記の登録免許税は3万円、清算人選任登記は9,000円
清算中は清算会社として存続する
債権者保護手続や税務申告なども必要
清算が終わったら、清算結了登記を行う
清算結了登記の登録免許税は2,000円
ということになります。
会社を設立する手続きと同じように、会社を終わらせる手続きにも一定の流れがあります。
休眠会社を整理したい場合や、事業終了を考えている場合には、登記だけでなく、税務や許認可、契約関係も含めて全体を確認しながら進めたいですね。
参考資料
