相続した土地がどこにあるのか分からなかったら?
親が亡くなって、遺品を整理していたときのこと。
古い書類の中から、見覚えのない土地の資料が出てきた。
「えっ? お父さん、こんな土地も持っていたの?」
ところが、書類を見ても場所がよく分からない。
家族に聞いても、誰も知らない……。
こんなとき、どうすればいいのでしょうか?
実は、亡くなった方が所有していた土地や建物を、相続人がすべて把握しているとは限りません。
でも、ご安心ください。亡くなった方の名義になっている不動産を調べる方法があります。
今回は、相続する不動産がどこにあるのか分からない場合の調べ方をご紹介します。
まずは固定資産税の書類を確認!
最初に確認したいのが、固定資産税の納税通知書です。
毎年、市区町村などから送られてくる書類ですね。
納税通知書に添付されている「課税明細書」には、土地や建物の所在地などが記載されています。
例えば、亡くなった父親宛ての課税明細書を見れば、父親が所有していた不動産を把握する手がかりになります。
ただし、固定資産税が非課税の土地などは、課税明細書に記載されていない場合があります。
そのため、課税明細書だけですべての不動産が分かるとは限りません。
市役所で「名寄帳」を調べる方法も
もう一つ、不動産を調べる際に役立つのが「名寄帳(なよせちょう)」です。
聞き慣れない名前かもしれませんね。
名寄帳とは、市区町村が管理している、所有者などごとの土地や建物の情報をまとめた帳簿です。
例えば、父親が芦屋市内に複数の土地を所有していた場合、名寄帳を確認することで、その土地をまとめて把握できる場合があります。
相続人であれば、戸籍などの必要書類を提出することで、名寄帳を取得できる場合があります。
ただし、注意点もあります。
原則として、その市区町村で管理している不動産が対象
ほかの市区町村の土地までは分からない
非課税の土地などが記載されるかは自治体によって異なる
つまり、芦屋市の名寄帳を取得しても、西宮市や神戸市にある土地まで調べられるわけではありません。
2026年2月から新しい制度が始まりました!
ここで、ぜひ知っておいていただきたい制度があります。
2026年2月2日から始まった「所有不動産記録証明制度」です。
これは、法務局で、特定の人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧にしてもらえる制度です。
例えば、亡くなった父親が全国のどこに不動産を所有していたのか分からない場合。
相続人が法務局に請求することで、父親の氏名や住所などの検索条件に合う不動産を一覧で確認できます。
これまでは、不動産の所在地が分からないと、登記簿を調べること自体が難しい場合もありました。
新しい制度によって、相続する不動産を探しやすくなったのです。
誰が利用できるの?
主に、次のような方が請求できます。
不動産の登記名義人本人
亡くなった登記名義人の相続人など
これらの方から委任を受けた代理人
全国の法務局で請求でき、書面による請求のほか、オンライン請求にも対応しています。
相続人が請求する場合には、相続関係を証明する戸籍などが必要になります。
この制度で全部の不動産が分かる?
実は、ここにも注意点があります。
所有不動産記録証明制度は、登記簿に記録されている氏名や住所などをもとに検索する仕組みです。
そのため、
登記簿に昔の住所が記録されている
氏名や住所が検索条件と一致しない
所有権の登記がされていない
といった場合には、不動産が検索結果に出てこないことがあります。
また、登記簿がコンピュータ化されていない不動産も検索対象外です。
新しい制度を利用すれば、すべての不動産が必ず見つかるというわけではありません。
固定資産税の資料や名寄帳などと組み合わせて確認することが大切です。
土地の地番は分かったけれど、場所が分からない!
不動産の資料に「〇〇町123番4」と書いてあっても、実際にどこなのか分からないことがあります。
ここで知っておきたいのが、「地番」と「住所」の違いです。
普段使っている住所と、土地の登記に使われている地番は、必ずしも同じではありません。
そのため、地番が分かっても、地図ですぐに場所を特定できないことがあります。
そんな場合には、法務局で取得できる公図や地図などを手がかりに調べる方法があります。
ただし、資料だけでは現地の場所や境界がはっきりしないこともあります。
その場合には、土地家屋調査士などへの相談が必要になることもあります。
見つかった土地は相続登記が必要?
亡くなった方の名義の土地が見つかった場合には、相続関係を確認し、必要な相続登記を行います。
ここで注意したいのが、相続登記の義務化です。
2024年4月1日から、相続登記は義務になっています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
2024年4月1日より前に相続による取得を知っていた不動産については、原則として2027年3月31日が期限となります。
ただし、具体的な期限は、相続による取得を知った時期などによって異なります。
「昔の相続だから関係ない」というわけではありません。
まずは手元にある資料を集めてみましょう
亡くなった方の不動産を調べたい場合には、次のような資料が手がかりになります。
固定資産税の納税通知書・課税明細書
権利証や登記識別情報通知書
土地の売買契約書
過去の相続関係の書類
不動産の所在地が書かれた古い資料
すべてそろっている必要はありません。
手元にある資料から少しずつ確認していくことが大切です。
まとめ 相続する土地が分からなくても、調べる方法はあります!
亡くなった親が所有していた土地。
あることは分かっているのに、どこにあるのか分からない。
あるいは、そもそも不動産をいくつ所有していたのか分からない。
そんな場合でも、調査する方法はあります。
固定資産税の課税明細書や名寄帳、そして2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度などを利用することで、不動産を把握する手がかりが得られます。
「親がどこに土地を持っていたのか分からない」
「相続する不動産を全部調べたい」
「古い土地の資料が見つかったけれど、どうすればいい?」
そんな場合は、まずは手元の資料を確認するところから始めてみましょう。
