成年後見・保佐・補助の違いは?判断能力によって何が変わる?
成年後見制度について調べると、
「成年後見」
「保佐」
「補助」
という3つの言葉が出てきます。
「全部同じような制度では?」
「親の場合はどれになるの?」
「後見人と保佐人では何が違うの?」
と分かりにくく感じる方も多いと思います。
2026年9月現在の法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、
後見・保佐・補助
の3つに分かれています。裁判所も、この3類型について本人の判断能力と支援する権限が異なる制度として案内しています。
今回は、それぞれの違いをできるだけ分かりやすく説明します。
法定後見制度は「判断能力の程度」で分かれています
大まかに整理すると、現在の制度では次のようになります。
| 後見 | 保佐 | 補助 | |
|---|---|---|---|
| 本人の状態 | 判断能力が欠けているのが通常 | 判断能力が著しく不十分 | 判断能力が不十分 |
| 支援する人 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
| 支援の範囲 | 比較的広い | 重要な行為を中心 | 必要な行為を限定 |
| 本人の同意 | 開始自体には不要 | 開始自体には不要 | 原則として必要 |
ただし、実際にどの類型になるかを最終的に判断するのは家庭裁判所です。
申立ての際には医師の診断書などを提出し、必要に応じて鑑定なども行われます。申立てた類型と異なる類型の審判になることもあります。
「後見」はどのような場合?
後見は、判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を対象とする制度です。
例えば、認知症などが進み、
・預金を管理することが難しい
・契約内容を理解することが難しい
・重要な財産について自分で判断することが難しい
といった状態が継続している場合に、後見開始が検討されます。
家庭裁判所が成年後見人を選任すると、成年後見人には本人の財産に関する法律行為について広い代理権が与えられます。
また、本人が行った法律行為についても、日常生活に関する行為を除き、成年後見人が取り消すことができる場合があります。
日用品の購入まで取り消されるわけではありません
成年後見人に取消権があると聞くと、
「本人が買い物をするたびに後見人の許可が必要なの?」
と思われるかもしれません。
そうではありません。
例えば、
・食料品を買う
・日用品を買う
・通常の生活に必要な少額の買い物をする
といった日常生活に関する行為については、本人が自分で行うことができます。
成年後見制度は、本人の日常生活をすべて後見人が支配するための制度ではありません。
「保佐」はどのような場合?
保佐は、判断能力が著しく不十分な方を対象とします。
後見ほど判断能力が低下しているわけではないものの、重要な財産行為を一人で行うには不安があるような状態です。
現在の制度では、被保佐人が一定の重要な法律行為を行う場合には、原則として保佐人の同意が必要になります。
例えば、
・お金を借りる
・保証人になる
・不動産など重要な財産を売買する
・相続を承認したり放棄したりする
・遺産分割をする
といった行為です。
保佐人の同意が必要な行為を、本人が同意を得ずに行った場合には、取り消すことができることがあります。
保佐人は何でも代理できるわけではありません
成年後見人と違い、保佐人には最初から本人の財産について全面的な代理権が与えられるわけではありません。
必要がある場合には、
「この手続について保佐人に代理権を与える」
という形で、家庭裁判所が特定の行為について代理権を付与します。
そして、この代理権を付与するためには、原則として本人の同意が必要です。
つまり、保佐では、本人ができることを残しながら、必要な部分を支援するという考え方になります。
「補助」はどのような場合?
補助は、判断能力が不十分ではあるものの、後見や保佐ほど判断能力が低下していない方を対象とします。
例えば、
「普段の生活は自分でできるけれど、大きなお金の契約だけは一人では不安」
「不動産の売却など特定の手続だけ支援してほしい」
といったケースです。
補助では、本人に必要な支援内容を限定して、
・同意権
・取消権
・代理権
を補助人に与えることができます。
現在の制度では、補助開始の審判には本人の同意が必要です。また、補助人へ同意権や代理権を与える場合にも、本人の同意が必要です。
3つの制度で一番大きく違うのは「支援する範囲」
簡単にいうと、
後見
→ 本人を広い範囲で支援する
保佐
→ 重要な財産行為を中心に支援する
補助
→ 本人が必要とする特定の部分だけ支援する
という違いがあります。
判断能力が少し低下しているだけなのに、必ず広い権限を持つ成年後見人を付けるという制度ではありません。
本人の状態に合わせて、必要な支援の範囲を考えることが大切です。
「軽い認知症なら補助」と単純には決まりません
認知症の程度だけで、
「軽度だから補助」
「中程度だから保佐」
「重度だから後見」
と機械的に決まるわけではありません。
実際には、
・本人が契約内容をどこまで理解できるか
・財産を管理できるか
・日常生活でどのような支援が必要か
・医師の診断内容
などを踏まえて家庭裁判所が判断します。
そのため、
「認知症と診断されたからどの制度になるか」ではなく、「現在どのような判断ができ、どのような支援が必要なのか」
を見ることが重要です。
本人の自宅を売る場合は?
前回の記事でも触れましたが、後見人等が本人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
これは後見人が選任されれば、
「自由に自宅を売却できる」
ということではないためです。
後見人・保佐人・補助人は誰が決める?
いずれの場合も、最終的に後見人等を選任するのは家庭裁判所です。
申立ての際に家族を候補者として記載することはできますが、
その家族が必ず選任されるわけではありません。
本人の財産内容や家族関係、必要な手続などによっては、司法書士や弁護士などの専門職が選任されることもあります。
家族が支援できていても成年後見が必要になることがあります
日常生活では家族が十分に支援できていても、
・不動産を売却する
・金融機関の手続きを行う
・遺産分割協議をする
・施設との契約をする
など、法律上の手続が必要になった段階で、
「家族だから代わりに手続きできるわけではない」
という問題が出ることがあります。
そのため、成年後見制度の相談は、
「本人の生活に困っている」
という場合だけではありません。
具体的な法律手続きを進めようとして初めて、制度利用が必要になることもあります。
2026年に成年後見制度の改正法が成立しています
ここまで説明した後見・保佐・補助は、2026年9月現在の制度です。
2026年6月には成年後見制度を大きく見直す改正法が成立し、6月24日に公布されています。
改正後は、現在の後見・保佐制度を廃止し、補助制度に一元化することなどが予定されています。本人に必要な範囲で制度を利用できるようにすることが、今回の見直しの大きなポイントです。
ただし、改正制度はまだ施行されていません。
そのため、現在成年後見制度を利用する場合には、今説明した後見・保佐・補助の3類型が適用されます。
改正後の成年後見制度については、このシリーズの最後にあらためて詳しく取り上げたいと思います。
どの制度を利用すればいいか分からなくても大丈夫です
実際の相談では、
「後見を申し立てるべきなのか」
「保佐なのか補助なのか」
をご家族だけで判断するのは難しいと思います。
最初から制度を決めて相談する必要はありません。
まず、
・本人の現在の生活状況
・判断能力の状態
・財産状況
・これから行いたい手続
・家族が困っていること
を整理すると、どのような支援が必要なのかが見えてきます。
芦屋市で成年後見についてお悩みの方へ
松岡司法書士事務所では、芦屋市を中心に、西宮市・神戸市東灘区などで成年後見に関するご相談を承っています。
「親に成年後見が必要なのか分からない」
「後見・保佐・補助のどれに当たるのか分からない」
「施設入所や預金、不動産の手続きを進めたい」
「家庭裁判所への申立てをどうすればいいか分からない」
という段階からでもご相談いただけます。
制度を利用することを前提にするのではなく、本人の状態や必要な手続きを確認しながら、どのような方法が考えられるのか整理していきます。
初回相談は無料です。
ご自宅・病院・施設などへの出張相談にも対応しています。
電話でいきなり相談するのが苦手という方は、メールからでもお気軽にお問い合わせください。
詳しくは、松岡司法書士事務所のホームページをご覧ください。
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成年後見・任意後見・相続・遺言・死後事務などのご相談を承っています。
