2026年10月26日月曜日

相続手続きに役立つ制度④ 相続登記の「3年以内」はいつから?期限の数え方をケース別に解説

 


相続登記の「3年以内」はいつから?期限の数え方をケース別に解説

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

「相続登記は3年以内にしなければならない」

この話は、ニュースなどで聞いたことがある方も多いと思います。

でも、ここで一つ疑問が出てきます。

その3年という期限は、いつから数えるのでしょうか?

「親が亡くなった日から?」

「遺産分割協議がまとまった日から?」

「何十年も前に亡くなった場合は?」

実は、相続の状況によって期限の考え方が異なります。

今回は、具体的なケースを見ながら確認していきましょう。

基本は「不動産を相続したことを知った日」から3年

相続登記の申請義務は、原則として、自分のために相続が始まったことを知り、さらに、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。

つまり、単純に「亡くなった日から3年」というわけではありません。

例えば、お父さんが亡くなったことは知っていても、お父さんが所有していた土地の存在を知らなかった場合などには、期限の起算点が異なることがあります。


それでは、具体例を見てみましょう。

ケース① 2026年に親が亡くなった場合

2026年6月にお父さんが亡くなり、自宅の土地と建物を相続したことを、そのときに知っていたとします。

この場合は、原則として2029年6月までに相続登記を申請する必要があります。

もちろん、遺産分割協議が早くまとまれば、期限を待つ必要はありません。

早めに名義変更を済ませておく方が、後々の管理や売却の際にも手続きが進めやすくなります。


ケース② 2015年に亡くなった親の名義のままだった場合

こちらは注意が必要です。

例えば、2015年にお父さんが亡くなり、実家を相続したことも当時から知っていたとします。

しかし、相続登記をしないまま2026年になってしまいました。

「義務化されたのは2024年だから、それ以前の相続は関係ないのでは?」

と思われるかもしれません。

でも、そうではありません。

2024年4月1日より前に発生した相続も、相続登記の義務化の対象です。

以前から不動産を相続したことを知っていた場合には、原則として、

2027年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。

昔の相続だからといって、期限がないわけではないんですね。


ケース③ 親が亡くなった後、何年もしてから土地が見つかった場合

例えば、2018年にお父さんが亡くなり、実家の相続手続きは終わっていたとします。

ところが、2026年10月になって、遠方にお父さん名義の土地が残っていることが分かりました。

こうした場合、以前からその土地を相続したことを知っていたわけではありません。

原則として、その土地を相続により取得したことを知った時点から3年以内に相続登記を行うことになります。

この例では、2029年10月までが期限の目安です。

ただし、実際にいつ取得を知ったのかなど、具体的な事情によって判断が必要です。

前回ご紹介した「所有不動産記録証明制度」も、こうした不動産の発見に役立つ制度です。


ケース④ 遺産分割協議がなかなかまとまらない場合

相続人が複数いると、誰が不動産を相続するのか、すぐには決まらないことがあります。

例えば、2025年にお父さんが亡くなり、相続人が3人いたとします。

不動産を相続したことは分かっているけれど、誰が取得するのかについて話し合いがまとまりません。

そして、2027年になってようやく長男が取得することで合意したとします。

ここで知っておきたいのが、遺産分割が成立した場合の追加的な登記義務です。

相続登記の基本的な申請義務とは別に、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を反映した登記をする必要があります。

この例なら、原則として2030年までに遺産分割の結果に基づく登記が必要です。

ただし、遺産分割の成立によって、最初の3年間の申請義務が自動的に延長されるわけではありません。

期限までに通常の相続登記ができない場合には、前々回ご紹介した「相続人申告登記」を利用する方法もあります。


相続人申告登記をした場合の期限は?

相続人申告登記を期限内に行うと、申出をした相続人について、基本的な相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。

しかし、その後に遺産分割協議が成立した場合には、原則として成立日から3年以内に、その結果に基づく登記が必要です。

相続人申告登記は、名義変更そのものではありません。

ここは混同しないようにしたいところですね。


「3年以内」を過ぎたら、必ず過料になる?

相続登記の義務に正当な理由なく違反した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。

ただし、期限を過ぎたからといって、自動的に過料が科されるわけではありません。

過料の仕組みや、登記を長期間放置した場合の問題については、以前の記事で詳しく紹介しています。

▶ 相続登記を放置するとどうなる?2027年3月31日の期限と10万円以下の過料


まとめ

相続登記の期限は「3年以内」といわれますが、いつから3年を数えるのかが重要です。

整理すると、

  • 相続による不動産の取得を知った場合は、その日から原則3年以内

  • 2024年4月1日より前から取得を知っていた場合は、原則2027年3月31日まで

  • 後から知らなかった不動産が見つかった場合は、取得を知った時点が起算点になることがある

  • 遺産分割が成立した場合には、別途、成立日から3年以内の登記義務がある

ということになります。

同じ相続登記でも、事情によって期限は異なります。

「うちの場合は、いつまでなんだろう?」

そんなときは、亡くなった時期だけでなく、不動産を相続したことをいつ知ったのか、遺産分割が成立しているかなどを確認することが大切です。

制度の詳しい内容は、法務省のホームページでも確認できます。

▶ 法務省|相続登記の申請義務化について